編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Estacio RO, Jeffers BW, Hiatt WR, Biggerstaff SL, Gifford N, Schrier RW: The effect of nisoldipine as compared with enalapril on cardiovascular outcomes in patients with non-insulin-dependent diabetes and hypertension. N Engl J Med 1998; 338: 645-652. [PubMed]

興味のある成績である。対象のBMIは平均31kg/m²という,日本人では稀な高度肥満者が対象である。試験薬の用量がいずれもわが国の用量を大きく超えている。また,糖尿病患者の心筋梗塞の頻度も米国と日本では大きく異なる。この成績をただちに日本人にあてはめることには無理があろう。【景山 茂

●目的 高血圧を伴うNIDDM患者に対するCa拮抗薬nisoldipineあるいはACE阻害薬enalapril による降圧治療が,合併症に及ぼす効果を検討した。一次エンドポイントは強力もしくは穏健な血圧コントロールが24時間クレアチニンクリアランスに及ぼす影響。二次エンドポイントは心血管イベント,網膜症,神経障害,尿アルブミン,および左室肥大。
●デザイン 無作為,二重盲検。
●試験期間 追跡期間は67ヵ月。
●対象患者 470例:ABCD trialの登録患者(NIDDMでDBP≧80mmHg,40~74歳)950例中,高血圧(DBP≧90mmHg)の患者群。
除外基準:ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬とACE阻害薬にアレルギーのある者。6ヵ月以内の心筋梗塞・不安定狭心症,脳卒中の既往。3ヵ月以内の冠状動脈バイパス手術。NYHA III~IV度の心不全,Ca拮抗薬とACE阻害薬の絶対適応,人工透析を受けている者,血清クレアチニンが3mg/dL以上の者。
●方法 高血圧群470例を強化コントロール(目標DBP 75mmHg)群235例と,穏健コントロール(目標DBP 80~89mmHg)群235例に割り付け,さらに各群でCa拮抗薬nisoldipine(10~60mg/日)群とACE阻害薬enalapril(5~40mg/日)群とに割り付けた。
●結果 enalapril群は割付け時にHDL-Cが低く,足首-上腕指数異常と狭心症が有意に多かった。
追跡期間中,両薬剤間で血圧コントロールに差はなく,致死性および非致死性心筋梗塞の発症はnisoldipine群で25例,enalapril群で5例であり,心リスク因子を補正したロジスティック回帰モデルで,リスク比9.5であった(95%CI 2.3-21.4)。
ABCD trialは試験開始から67ヵ月後,高血圧群の両薬剤間で心血管イベント発症率に有意差が認められたため,nisoldipine投与が中止された。
●結論 2型糖尿病と高血圧を合併したこの集団では,心筋梗塞の発症頻度がenalapril群に比しnisoldipine群で有意に高かった。これは二次エンドポイントに基づく成績であるため,確認が必要である。