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Sorbinil Retinopathy Trial Research Group.: A randomized trial of sorbinil, an aldose reductase inhibitor, in diabetic retinopathy. Arch Ophthalmol 1990; 108: 1234-1244. [PubMed]

この報告でアルドース還元酵素阻害薬が網膜症に無効とするには至らない。Kinoshitaらの実験糖尿病白内障モデルの研究[下部NOTE参照]では,細胞膜透過性の低いソルビトールの蓄積が白内障の原因であることは確かである。ガラクトースはポリオール側副路でガラクチトールを合成しポリオールの蓄積を招くが,このガラクトース食餌負荷イヌではヒト糖尿病網膜症に酷似した網膜症を呈する。そしてこのガラクトース食餌負荷イヌ網膜症に対しアルドース還元酵素阻害薬が有効であるとの報告がなされている。したがってアルドース還元酵素阻害薬の有用性を確認するために,より完成度の高い糖尿病網膜症モデル動物の開発と,さらなる臨床研究が必要と思われる。【梯 彰弘】

●目的 糖尿病網膜症に対しpolyol pathway(ポリオール側副路)が関与しているという仮説のもとに,アルドース還元酵素阻害薬sorbinilが糖尿病網膜症に対し効果があるかどうかについて検討した。
●デザイン 無作為,多施設。
●試験期間 追跡期間は41ヵ月(中央値)。
●対象患者 497例:1型糖尿病で,41歳までに治療を開始し,調査前3ヵ月以上大きな変化がない。またDRSプロトコール[下部NOTE参照]の標準7視野眼底写真にて,5個以下の毛細血管瘤しか認めない軽度の網膜症もしくは網膜症を認めない患者。18~56歳。
●方法 経口sorbinil群248例(25mg/日を2週間,75mg/日を2週間,その後250mg/日)もしくはプラセボ群249例に割り付け,網膜症の進行を特に30ヵ月と最終受診日で評価し比較検討した。
●結果 最長追跡期間での網膜症の2段階以上の悪化はsorbinil群28%,プラセボ群32%となり両群間に有意差を認めなかった(p=0.344)。毛細血管瘤の増加は21ヵ月(p=0.046)および30ヵ月の時点(p=0.039)でsorbinil群はプラセボ群より少なかったが,最終追跡時には有意差は認められなかった(p=0.156)。sorbinilを割り当てられた症例の約7%が初期3ヵ月でこの薬剤に対する過敏反応を起こした。
●結論 sorbinil(250mg/日)3年間内服投与は1型糖尿病の網膜症の進展予防に有効とは考えられない。しかしながら毛細血管瘤の増加という点ではsorbinil群はプラセボ群より緩く進行し,不確かだがある程度の効果はあるかもしれない。