編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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The Diabetes Control and Complications Trial Research Group.: Pregnancy outcomes in the Diabetes Control and Complications Trial. Am J Obstet Gynecol 1996; 174: 1343-1353. [PubMed]

1型糖尿病のスタディで有名なDCCTの,観察期間中における妊娠とその結果を調査したものである。180の妊娠症例と270の分娩が対象となった。強化インスリン療法群135例で奇形発生が1例,同じく135例の従来療法群で8例の奇形がみられた。挙児希望の糖尿病患者では,妊娠前からの厳密な血糖管理が必要となることを示した貴重な結果である。【河盛隆造

●目的 DCCTの試験期間中に妊娠したIDDM患者について,強化インスリン療法による血糖コントロールが母体および胎児の転帰に及ぼす影響を検討した。
●デザイン 多施設。
●試験期間 追跡期間は3年以上(平均6.5年。4~9年)。1983~1993年。
●対象患者 180例:DCCTに参加した女性患者680例のうち1983~1993年に妊娠した者(妊娠270例)。うち強化インスリン療法群94例(妊娠135例),従来インスリン療法群86例(妊娠135例)。従来療法群のうち,受胎前に強化療法に転向26例(52例),受胎後に転向60例(83例)。13~39歳。罹病期間1~15年のIDDM患者。
除外基準:無作為化の時点で妊娠中あるいは2年以内に妊娠を予定している者。網膜症,腎症,神経障害が進行している者。薬物またはアルコール乱用歴のある者。精神病性エピソード。摂食障害。てんかん。ケトアシドーシス再発のエピソード。
●方法 患者からの月経停止の報告と血清/尿検査により妊娠が確認された場合,従来インスリン療法群の患者は即時入院のうえ,血糖コントロールの評価,強化インスリン療法の実施を勧告。血糖値の目標は,空腹時70~100mg/dL,食後1時間≦140mg/dL。妊娠期間中は頻繁に自己血糖測定(食前,食後1~2時間値)を行い,食事調整(30kcal/kg以上),三半期ごとに網膜症の検査を実施。出産後は,割付け当初のインスリン療法を再開。
●結果 HbA1c値は,受胎の時点では強化療法群で従来療法群に対し有意に低かったが(7.4±1.3% vs. 8.1±1.7%,p=0.0001),妊娠期間中は両群で同等であった(6.6±0.8% vs. 6.6±1.3%)。従来療法群中,受胎前に強化療法群に転向した者のHbA1c値は受胎後に転向した者に対し,受胎の時点(6.9±1.0% vs. 8.8±1.7%),妊娠期間中(6.2±0.7% vs. 6.9±1.5%)とも有意に低かった。先天性奇形は9例(4.7%)で,そのうち8例が従来療法群で発生した(p=0.06)。流産は32例で,強化療法群18例(13.3%),従来療法群14例(10.4%)と,両群で有意差はなかった。また強化療法群で従来療法群に対し出産が1週間早かった(平均37.1 vs. 38.1週,p=0.05)ほかは,子に関する検査値は両群で差違がなかった。全体的に,転帰が異常であった母体では,正常であった母体よりも平均HbA1c値が高かった。
●結論 IDDM患者の妊娠に際し,強化インスリン療法の時宜にかなった開始は流産および先天性奇形の率を,非糖尿病患者と同程度に抑えることに関連する。