編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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The TIMAD Study Group.: Ticlopidine treatment reduces the progression of nonproliferative diabetic retinopathy. Arch Ophthalmol 1990; 108: 1577-1583. [PubMed]

この報告では,ticlopidineは糖尿病網膜症の進展予防には有効であるとのことであるが,同様の薬理作用を有するaspirinは,ETDRS 8にてその有用性を証明できていない。これはいったいどういうことであろうか。糖尿病網膜症に関する臨床研究では,1つのリスク因子を評価するために,網膜症の進展に大きく関与すると思われる他の条件をそろえなければならないが,それらすべての条件を一定にすることは困難である。内科的な全身的検査項目をある程度一定にしていても,糖尿病網膜症の進展に大きく関与すると思われる眼科的な条件をそろえていないことが,これらの研究の大きな弱点である。眼科的要因として近視の程度は網膜症の進展に大きく関与し,後部硝子体剥離は,部分後部硝子体剥離と完全後部硝子体剥離では全く反対の予後を示す。これらの条件をそろえたうえで,再度しっかりした臨床研究が望まれる。【梯 彰弘】

●目的 糖尿病網膜症の初期の進展に血小板凝集機能の亢進と毛細血管閉塞が関与しているという仮説のもとに,抗血小板薬ticlopidine hydrochlorideの糖尿病網膜症に対する効果を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設。
●試験期間 追跡期間は3年。
●対象患者 435例:空腹時血糖値≧7.7mmol/Lの糖尿病で,非増殖糖尿病網膜症を認める患者。18~68歳。
除外基準:DBP>100mmHg,ticlopidineで治療中の心疾患。
●方法 ticlopidine(経口ticlopidine hydrochloride:500mg/日)群220例とプラセボ群215例に割り付け,網膜症の進展を蛍光眼底造影検査と眼底写真にて3ヵ月ごと3年間,経過観察した。標準眼底写真は出血,白斑,網膜血管異常の評価のため,画角30度の視神経乳頭を中心にしたものと黄斑部を中心にした2ヵ所を採用した。蛍光眼底造影検査は毛細血管瘤,毛細血管閉塞,黄斑浮腫の評価のため,8ヵ所について撮影を行った。
●結果 1年ごとの毛細血管瘤の増加率は,ticlopidine群よりプラセボ群で有意に高かった(p=0.03)。ticlopidineはインスリン治療を受けている患者に特に有効であり,ticlopidine群の1年ごとの毛細血管瘤の進展率は,プラセボ群と比べて7倍低下した(p=0.03)。インスリン治療を受けている患者では,ticlopidine群での新生血管発生率はプラセボ群より低い傾向にあった(p=0.056)。総合して網膜症の進展率は,ticlopidine群で有意に低かった(p=0.04)。ticlopidineに関連した副作用には,臨床上の合併症のない好中球減少症,下痢,発疹などが認められた。
●結論 ticlopidine(500mg/日)の3年間内服投与は,非増殖糖尿病網膜症の進展予防には有効である。