編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Chew EY, Klein ML, Ferris FL 3rd, Remaley NA, Murphy RP, Chantry K, Hoogwerf BJ, Miller D: Association of elevated serum lipid levels with retinal hard exudate in diabetic retinopathy. Early Treatment Diabetic Retinopathy Study (ETDRS) Report 22. Arch Ophthalmol 1996; 114: 1079-1084. [PubMed]

全体的な網膜症としてはそれほどでもないのに,黄斑症が進行し,硬性白斑が中心窩に集積して失明状態に至ることがある。レーザー治療で黄斑周囲の網膜浮腫を消退させることはできても,中心窩に集積した硬性白斑を消退させることはほとんど不可能である。黄斑症に対しては早期の部分的レーザー治療とともに,血清脂質値の低下が重要である。【梯 彰弘】

●目的 ETDRSの症例において,空腹時血清脂質値と硬性白斑および視力の相関について検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設。
●試験期間 追跡期間は9年。
●対象患者 2709例:ETDRSの症例[下部NOTE参照]の初期登録患者。
●方法 ベースラインでの空腹時血清脂質値,矯正視力測定とステレオ眼底写真による網膜浮腫,硬性白斑の評価を行った。
●結果 ベースラインで,血清総コレステロール値の上昇もしくは血清LDL-Cの上昇を認めた糖尿病患者は,それらの値が正常の患者に比較し2倍の確率で硬性白斑の出現を認めた。これらの患者では調査期間中に硬性白斑が増加するリスクも高率であった。黄斑浮腫が同程度でも硬性白斑が存在するほど,視力低下のリスクは増加した。
●結論 今回の分析結果から,血清脂質値の上昇は硬性白斑のリスク因子であることが示された。硬性白斑は通常,黄斑浮腫に伴って出現するが,硬性白斑の増大は独立して視力低下の原因となっている。血清脂質値の低下は心血管疾患の罹病率を低下させる。今回のETDRSの結果は,血清脂質値の低下は硬性白斑の抑制と硬性白斑に伴う視力低下のリスクを低下させることを示している。高脂血症の改善は網膜症の進行抑制に対し効果がある可能性が示された。