編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Reichard P, Pihl M: Mortality and treatment side-effects during long-term intensified conventional insulin treatment in the Stockholm Diabetes Intervention Study. Diabetes 1994; 43: 313-317. [PubMed]

本研究は,強化インスリン療法の利点,すなわち糖尿病性細小血管症の進展抑制という治療的意義を認めながらも,その適応については,個々の症例について十分に検討しなければならないことを喚起したものである。【犬飼浩一】

●目的 長期間の強化インスリン療法(ICT)と標準的インスリン療法(ST)による,死亡率および副作用を検討した。
●デザイン 無作為。
●試験期間 追跡期間は7.5年。
●対象患者 102例:インスリン治療を受けているIDDM患者(平均年齢31歳)。
増殖性網膜症がなく,血清クレアチニン値が正常で,血糖コントロール不良な患者。
●方法 患者をICT群(48例)とST群(54例)に割り付け,4ヵ月ごとにHbA1c,体重,インスリン量などをチェックした。調査の前後において,細小血管症,大血管症等の評価,大脳皮質の神経機能の検査を行う。
●結果 HbA1cは,ICT群で平均9.5%から7.1%に,ST群で9.4%から8.5%に改善し,糖尿病による細小血管症の進展は,血糖コントロールのいいICT群において有意に少なかった。死亡はICT群で4例,ST群では3例であった。死亡率と相関した因子は,調査開始時における蛋白尿,腓腹神経活動電位値,反対側の手を収縮させた時の腕血流量(交感神経機能検査)のみで,インスリン治療法とは相関がなかった。体重はICT群で平均4.4kg,ST群で1.8kgそれぞれ増加。指脈体積変動記録法(プレチスモグラフィ)で測定した動脈硬化の評価,大血管症の出現頻度にも有意差はなかった。患者1人あたりの重篤な低血糖発作は,ICT群で年平均1.1回,ST群で0.4回と開きがあるものの,低血糖による副作用と思われるような大脳皮質機能に,各群で有意差はなかった。
●結論 強化インスリン療法は標準的インスリン療法と比べて,糖尿病性細小血管症の進展を遅らせるものの,死亡率や大血管症の出現に有意差はなく,逆に体重増加と,およそ3倍の頻度の重篤な低血糖発作を引き起こすことが示された。