編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年2月現在,1152報収載!
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Fontbonne A, Charles MA, Juhan-Vague I, Bard JM, Andre P, Isnard F, Cohen JM, Grandmottet P, Vague P, Safar ME, Eschwege E: The effect of metformin on the metabolic abnormalities associated with upper-body fat distribution. BIGPRO Study Group. Diabetes Care 1996; 19: 920-926. [PubMed]

metforminを使用したトライアルとしては,肥満2型糖尿病患者を対象としたUKPDS 34が有名であるが,本トライアルは非糖尿病,肥満中年者を対象に行われた。その結果,metforminによって体重,空腹時インスリンを減少させ,インスリン抵抗性を改善したと思われた。ただ,結果をみるにあたって,インスリン抵抗性症候群で実際に問題となる動脈硬化性疾患発症を評価したものではないこと,わが国においては保険上metforminは750mg/日までしか使えないが,使用量が1700mg/日と2倍以上であること,また,糖尿病未発症の者に対する予防的投与は認められていないことなどを留意する必要がある。【河盛隆造

●目的 インスリン抵抗性が関与する異常が,虚血性心血管疾患やNIDDMの原因の一部である,という仮説を早期予防段階で検証するために,上半身肥満患者におけるmetformin(ビグアナイド)の効果を測定した。エンドポイントは,インスリン抵抗性症候群(IRS)を示す臨床所見と生化学的データ。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intent-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は1年。
●対象患者 324例:非糖尿病で心血管疾患のない上半身肥満の中年患者。男性35~60歳,女性40~65歳。ウェストヒップ比が大きいこと(男性≧0.95,女性≧0.80)。
除外基準:腎機能障害(血漿クレアチニン値≧15mg/L)。
●方法 metformin群(850mg錠×2回/日,164例)とプラセボ群(160例)に割付け。施設と性別で層別化。インスリン抵抗性を改善するために,全患者にライフスタイル(食事と運動)の指導を行った。
●結果 metformin群では,体重が有意に減少し,空腹時血糖値,総コレステロール,LDL-C値の維持が良好で,空腹時血糖値の低下が大きかった。また,線維素溶解障害の指標である組織プラスミノーゲン活性化因子抗原が有意に低下した。一方,血圧,血清トリグリセリド,HDL-C値に対する有意な効果は認められなかった。metforminの主な副作用は下痢であった。
●結論 metforminは糖尿病予防の長期介入には有望であるが,心血管疾患の一次予防に用いるためには,IRSで最も多い粥腫形成異常に対する効果や標的患者の定義について再評価する必要がある。