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Davis MD, Fisher MR, Gangnon RE, Barton F, Aiello LM, Chew EY, Ferris FL 3rd, Knatterud GL: Risk factors for high-risk proliferative diabetic retinopathy and severe visual loss: Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Report #18. Invest Ophthalmol Vis Sci 1998; 39: 233-252. [PubMed]

ETDRSで対象になっている患者は登録時にすでに中等度から重度のNPDRもしくは早期のPDRを認める糖尿病患者である。したがって日常の眼科臨床で初診糖尿病患者を診察しその後の経過観察,治療をする状況によく似た状況が再現されている。このETDRS 18の結果からは,やはりどのようなタイプ,状況の糖尿病患者でも血糖コントロールは最優先になされるべきで,さらに高脂血症と貧血の治療も網膜症の進展予防効果上,積極的に勧められる。この報告で注目すべき点は高年齢と女性がリスク因子であることである。高年齢症例では動脈硬化,高血圧性の血管変化がすでにあり,またおそらく罹病期間も長い可能性があり,それらの因子の総合が高年齢というリスク因子になっていると思われる。しかし残念なことに高血圧の情報がETDRS 18では含まれていないので,これはUKPDSやPima Indiansの結果を参考にしてほしい。女性がリスク因子ということは,性ホルモンが関与している可能性があるが,その詳細は不明である。【梯 彰弘】

●目的 ETDRSの症例中,光凝固延期に割り付けられた眼において,高リスク増殖糖尿病網膜症(PDR)への進展のリスク因子,および高度視力障害もしくは硝子体手術への進展のリスク因子を検討した。
●デザイン 無作為,多施設。
●試験期間 追跡期間は9年。
●対象患者 3680例。ETDRSの症例[下部NOTE参照]のうち,ベースライン時に高リスクPDRであった9例,およびデータ紛失の22例を除く。
●方法 高リスクPDRへの進展のリスク因子,および高度視力障害もしくは硝子体手術への進展のリスク因子の強度および統計学的有意差を評価するために,多変量Coxモデルが構築された。
●結果 ベースラインですでに認められる高リスクPDRへの進展のリスク因子は,網膜症の重症度,視力低下(もしくは黄斑浮腫の拡大),HbA1c,糖尿病神経症,ヘマトクリット値の低下,高トリグリセリド値,低アルブミン値,そして軽度~中等度非増殖糖尿病網膜症(NPDR)では若年齢(もしくは1型糖尿病)であった。
硝子体手術への進展の顕著なリスク因子は高リスクPDRであった。他の明らかな硝子体手術への進展のリスク因子は,ベースラインでの視力低下であった。硝子体手術に至った症例で,高リスクPDRに進行する以前に硝子体手術への進展のリスク因子として認められたものは,ベースラインでの視力低下(黄斑浮腫の拡大),高年齢(2型糖尿病),性別(女性)であった。
●結論 今回の分析結果から,すべての年齢層にとって,いずれの糖尿病型のいずれの病期においても血糖コントロールが網膜症に対し抑制効果があることが示された。また高脂血症の改善と貧血の治療は,網膜症の進展に対し抑制効果がある可能性が示された。