編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年3月現在,1155報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Research Group.: Effects of aspirin treatment on diabetic retinopathy. ETDRS report number 8. Ophthalmology 1991; 98: 757-765. [PubMed]

ETDRS 8ではaspirin 650mg/日内服は軽度から重度のNPDRもしくは早期のPDRには効果もなければ有害な作用もないことが示されたが,この結果がすべてのステージにあてはまるわけではない。大量投与ではむしろ凝固傾向を強める結果(アスピリンジレンマ)となることもあり,軽度~中等度の網膜症ならば効果があるとするDAMAD studyの結果も報告されている。またTIMAD studyでは,ticlopidineがNPDRの進展予防に有効との報告をしている。いずれにしてもaspirinが眼にとって有害な作用を及ぼすことがないことは,臨床上有益な情報である。【梯 彰弘】

●目的 ETDRSの症例において,抗血小板薬aspirinが糖尿病網膜症に及ぼす影響について検討した。
●デザイン 無作為,多施設。
●試験期間 追跡期間は3~8年。
●対象患者 3711例:1980年4月~1985年7月に登録された軽度から重度の非増殖糖尿病網膜症(NPDR)もしくは早期の増殖糖尿病網膜症(PDR)を認める患者。
●方法 患者をaspirin(650mg/日)群(1856例)とプラセボ群(1855例)に無作為に割り付け,各群で片眼を早期光凝固,他眼を光凝固延期に割り付けた。眼底検査および眼底写真撮影を4ヵ月ごとに施行した。リスク因子を評価するためにCox比例ハザードモデルが構築された。
●結果 aspirin内服は高リスクPDRへの進展を予防できず,視力低下のリスクを減らすことができなかったが,硝子体出血のリスクを増すこともなかった。この結果は早期光凝固眼,光凝固延期眼ともに同様であった。
●結論 ETDRSのこの結果は,軽度から重度のNPDRもしくは早期のPDRを認める糖尿病患者にとってaspirin 650mg/日内服は,網膜症の進行に対し臨床的な有効性はないことを示している。一方でaspirin内服は臨床的に有害な作用もないことを示した。これらの所見はaspirinが心血管疾患およびその他の疾患で必要な場合,眼にとって禁忌となることはないことを示唆している。