編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Research Group.: Early photocoagulation for diabetic retinopathy. ETDRS report number 9. Ophthalmology 1991; 98: 766-785. [PubMed]

ETDRS 9では網膜症の程度および黄斑浮腫の程度により光凝固の方法を変えて追跡調査がなされている。この理由は,1)黄斑部の局所凝固もしくは汎網膜光凝固単独で黄斑浮腫に対し有効か,2)汎網膜光凝固は黄斑浮腫を悪化させることがないか,の2点を検討するためである。さて,実際に網膜光凝固を開始すべき時期はいつかということであるが,中等度以上のNPDRから開始し,高リスクPDRを認めた場合は即座に開始すべきとの結論であった。この基準は福田分類でいうとBI程度から開始すべきということになる。また黄斑浮腫が存在する網膜症に対する光凝固は,黄斑浮腫を認める軽度~中等度のNPDR群に対しては黄斑部局所凝固が第一選択になる。黄斑浮腫を認める重症のNPDRまたは早期のPDR群に対しては,full汎網膜光凝固直後に中等度の視力障害が出やすいことが確認されたので,mild汎網膜光凝固と局所凝固の組合わせが勧められる。そしてその後に時間をかけてfull汎網膜光凝固までもっていくべきである。【梯 彰弘】

●目的 糖尿病網膜症に対しどの時期に網膜光凝固を開始するのが適切か,そして黄斑浮腫に網膜光凝固は有効かの2点について検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設。
●試験期間 追跡期間は3~8年。
●対象患者 3711例:1980年4月~1985年7月に登録された1)視力20/40以上の黄斑浮腫を認めない中等度から重度の非増殖糖尿病網膜症(NPDR),あるいは早期の増殖糖尿病網膜症(PDR),2)視力20/400以上の黄斑浮腫を認める軽度から重度のNPDR,あるいは早期のPDRを認める糖尿病患者。
●方法 aspirin(650mg/日)群,もしくはプラセボ群に割り付けられた患者3711例について,それぞれ片眼を早期光凝固,他眼を光凝固延期に割り付けた。早期光凝固は汎網膜光凝固(full:1200~1600発もしくはmild:400~650発)と局所網膜光凝固を組み合わせた4種類の光凝固方法のうち1つを受けた。眼科的検査を4ヵ月ごとに施行し,高リスクPDRが認められた場合は,光凝固延期眼においてもすぐに網膜光凝固が施行された。
●結果 高リスクPDRへの進展率は,各群ともに光凝固延期群で高率であった。早期光凝固群は光凝固延期群に比較して,重篤な視力損失(受診時2回連続の5/200以下の視力)がやや減少したことと関連していた。しかし,5年後の重篤な視力損失率は早期光凝固群では2.6%,光凝固延期群では3.7%となり,ともに低率であった。一方で汎網膜光凝固の視力と視野に対する副作用も確認された。これらの副作用は網膜光凝固施行直後の月に著明で,mild汎網膜光凝固はfullより副作用は少なかった。黄斑浮腫に対しては局所凝固は中等度の視力低下を減少させる効果があるが,汎網膜光凝固にはその効果は認められない。また局所凝固は視野変化を起こさずに視力改善を促すことができ,黄斑浮腫の頻度を減少させうる。
●結論 注意深いフォローがなされている限り,軽度から中等度のNPDRに対し汎網膜光凝固は勧められない。網膜症がさらに悪化した場合に汎網膜光凝固は施行されるべきで,高リスクPDRの場合には即座に施行されるべきである。局所凝固は中心窩を巻き込んだり,その恐れのある黄斑浮腫には積極的に施行されるべきである。