編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Flynn HW Jr, Chew EY, Simons BD, Barton FB, Remaley NA, Ferris FL 3d: Pars plana vitrectomy in the Early Treatment Diabetic Retinopathy Study. ETDRS report number 17. The Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Research Group. Ophthalmology 1992; 99: 1351-1357. [PubMed]

糖尿病網膜症の眼科的治療は網膜光凝固と硝子体手術である。特に硝子体手術は最後の砦となる治療法である。硝子体手術の有用性を検討した大規模臨床研究にDiabetic Retinopathy Vitrectomy Study(DRVS)がある。DRVSでは硝子体出血が1ヵ月以上持続し視力が5/200以下の症例を早期手術と経過観察に割り付けて調査している。2年間の経過観察で10/20以上の視力が早期手術群で25%,経過観察群の15%より有意に良好であったが,無光覚弁に至った症例は早期手術群で24.9%と,経過観察群の19.3%と有意差はなかった1~4)。このDRVSの報告は失明予防に早期硝子体手術は無効であるとも理解される。しかしDRVSの報告の頃(1980年代)は,現在と手術機具や手術テクニックのレベルが大きく異なり,手術適応基準も現在の常識とは大きく異なる。現在の硝子体手術のテクニックは,失明予防という意味では絶大な効果を発揮するということを理解しておくべきである。ちなみにこのETDRS 17では,硝子体手術の結果,2年後に無光覚弁に至った症例は12.7%であった。【梯 彰弘】
1)DRVS report 1. Ophthalmology 1985; 92: 492-502. [PubMed]
2)DRVS report 2. Arch Ophthalmol 1985; 103: 1644-1652. [PubMed]
3)DRVS report 3. Ophthalmology 1988; 95: 1307-1320. [PubMed]
4)DRVS report 5. Arch Ophthalmol 1990; 108: 958-964. [PubMed]

●目的 ETDRSの症例中,硝子体手術に至った症例のベースライン,術前の状態,視力予後を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設。
●試験期間 追跡期間は9年。
●対象患者 208例:ETDRSの症例[下部NOTE参照]のうち,硝子体手術施行例。
●方法 ベースラインの状態,経過観察期間中の眼科所見,硝子体手術直前の眼科所見を調査した。
●結果 208例(5.6%)243眼に硝子体手術が行われた。それらの内訳は網膜光凝固に注目すると,5年後の硝子体手術に至った症例は早期full(1200~1600発)汎網膜光凝固群では2.1%,早期mild(400~650発)汎網膜光凝固群では2.5%,網膜光凝固延期群では4.0%であった。aspirin内服に注目すると,5年後の硝子体手術に至った症例はaspirin内服群では5.4%,プラセボ群では5.2%であった。硝子体手術の適応条件は硝子体出血(53.9%)と硝子体出血の有無にかかわらず網膜剥離(53.9%)があったかである。硝子体手術前の視力は5/200以下が66.7%,20/100以上が6.2%であった。術後視力は20/100以上が47.6%,20/40以上が24.0%であった。
●結論 頻回の検査による経過観察とタイムリーな汎網膜光凝固の施行により,5年後の硝子体手術施行率は5.3%にとどまった。aspirin内服は硝子体手術施行率に影響を及ぼさなかった。