編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Holleman F, Schmitt H, Rottiers R, Rees A, Symanowski S, Anderson JH: Reduced frequency of severe hypoglycemia and coma in well-controlled IDDM patients treated with insulin lispro. The Benelux-UK Insulin Lispro Study Group. Diabetes Care 1997; 20: 1827-1832. [PubMed]

現行の速効型インスリンは6分子が会合した六量体構造をとり,皮下で二量体,一量体へと解離し血中に吸収される。この解離時間のため,インスリン皮下注射後,効果が発現するまでに30分程度かかり,食後の血糖値を十分に下げられないという問題があった。この欠点を解消するため六量体を作りにくく,速やかに吸収される超速効型インスリンが開発された。すでに欧米各国で治療薬として使用され,わが国では現在,申請中である。このinsulin lisproも超速効型インスリンのひとつである。本トライアルの対象はIDDM患者である。lisproを使用することで食後の高血糖を防ぎ,血糖変動が低下する。かつ,効果の遷延がないため,低血糖発症リスクが低下する,などといった結果が示されている。【河盛隆造

●目的 血糖コントロールの良好なIDDM患者にinsulin lisproを投与し,血糖コントロールと低血糖発症率に対する効果を検討した。
●デザイン 無作為,オープン,クロスオーバー,多施設。
●試験期間 追跡期間は6ヵ月。
●対象患者 199例:WHO基準に合致するIDDM患者。18~65歳。インスリン投与を最低1年間受け,レギュラーインスリンの組合せ投与を最後の3ヵ月間受けている者。HbA1cが正常値上限の1.5倍以内。
●方法 4週間のrun-in期の後,insulin lispro+NPH insulin群かレギュラーインスリン+NPH insulin群のどちらかで12週間治療。その後,交差して12週間治療。血糖コントロールの効果を,HbA1c,家庭血糖測定値,低血糖発症率で評価した。また試験終了時にQOLを評価した。
●結果 insulin lispro群のHbA1cは試験期間中~7.3%に維持され,レギュラーインスリン群と比較すると,食事関連グルコース変動(-0.8±1.7 vs. 1.1±1.6mmol/L,p<0.001)と日内変動(M値,27.7±19.7 vs. 30.2±23.1,p=0.007)が有意に低かった。重篤な低血糖発症(58 vs. 36,p=0.037)も昏睡(16 vs. 3,p=0.004)もlispro群で有意に低かった。患者は,insulin lisproでライフスタイルの可動性と自由性が増したと感じた。
●結論 コントロール良好なIDDM患者では,insulin lisproの使用により,重篤な低血糖と昏睡のリスクが低下する。