編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sasaki A, Horiuchi N, Hasagawa K, Uehara M: Persistent albuminuria as an index of diabetic nephropathy in type 2 diabetic patients in Osaka, Japan-incidence, risk factors, prognosis and causes of death. Diabetes Res Clin Pract 1989; 7: 299-306. [PubMed]

糖尿病性腎症は日本における糖尿病患者の主要な死亡原因である。そのため罹病期間の長い糖尿病患者に対しては,微量アルブミン尿の検出を常に考えなければならない。また今回のスタディと他のスタディからも,糖尿病性腎症予防のためには厳格な血糖と血圧のコントロールが重要であるということが示唆された。【崔 正福】

●目的 日本の2型糖尿病患者における糖尿病性腎症の一般的特徴と,また持続性アルブミン尿を糖尿病性腎症の指標とした場合の腎症発症率,関連リスク因子,予後,死亡原因を検討した。
●デザイン 疫学,前向き,ロジスティック回帰分析。
●試験期間 追跡期間は平均10年。登録期間は1960~79年。追跡調査は1984年まで。
●対象患者 大阪地区の2型糖尿病患者1196例(男性740例,女性456例)。平均年齢:男性51.0±11.1歳,女性53.1±10.1歳。(1) 空腹時血糖≧140mg/dL,あるいは50g OGTT 2時間値≧180mg/dL。
(2)Albustixにてアルブミン尿陰性の者。
●方法 この調査での持続性アルブミン尿とは,他に腎疾患がなく,1年間のAlbustixによる測定で2回以上連続して陽性だった場合と定義。スタディ登録時に性別,年齢,罹病期間,喫煙の有無を記録し,50g OGTT,血清コレステロール・中性脂肪,アルブミン尿,血圧,肥満度,網膜症の有無,心電図等を測定。累積発症率の計算には生命表法が使用され,人口1000人に対する腎症の年間発症率はスタディ登録時のリスク因子に従って計算された。
●結果 観察期間中,持続性アルブミン尿の発症は193例(16.2%)で男性135例(18.3%),女性58例(12.7%)。持続性アルブミン尿発症までの平均罹病期間は男性11.3±7.2年,女性10.7±7.2年とわずかに男性が長かった。生命表法に基いた20年間の持続性アルブミン尿の累積発症率は,罹病期間が長くなるほど男女とも直線的に増加傾向を示したが,男性のほうがより高値であった。人口1000人に対する持続性アルブミン尿の年間発症率は16.16で,女性よりも男性が有意に高値であった(男性18.42,女性12.57)。
観察期間中に持続性アルブミン尿を発症した193例中,観察期間終了前に66例が死亡した(男性48例,女性18例)。持続性アルブミン尿を発症した患者の死亡率は男性35.6%,女性31.0%であったが,一方持続性アルブミン尿を発症しなかった患者の死亡率は男性20.0%,女性13.8%であった。また持続性アルブミン尿発症後の平均生存期間は3.0±3.1年ときわめて予後不良であった。持続性アルブミン尿を発症した患者の死亡原因は脳心血管疾患が63.6%,腎疾患が22.7%で,発症しなかった患者(38.6%と5.1%)よりも有意に高値であった。
●結論 持続性アルブミン尿の発症は発症年齢ではなく,スタディ登録時の年齢,罹病期間,SBP,空腹時血糖,糖尿病網膜症の有無,治療法と関連していた。心疾患と脳血管疾患を合併している場合,持続性アルブミン尿は有意な死亡原因であった。