編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Ohkubo Y, Kishikawa H, Araki E, Miyata T, Isami S, Motoyoshi S, Kojima Y, Furuyoshi N, Shichiri M: Intensive insulin therapy prevents the progression of diabetic microvascular complications in Japanese patients with non-insulin- dependent diabetes mellitus: a randomized prospective 6-year study. Diabetes Res Clin Pract 1995; 28: 103-117. [PubMed]

DCCTで示された1型糖尿病における強化インスリン療法による良好な血糖コントロールの有効性を,2型糖尿病においても実証した試験である。わが国で行われたが,DCCTと比較して腎症のリスクが大きく低下した。また,DCCT,UKPDSとは異なり,細小血管合併症の発症・進展阻止のための血糖コントロール閾値の存在(空腹時血糖値<110mg/dL,食後血糖値<180mg/dL,HbA1c<6.5%)が示されたが,比較的少数例の検討であるためかもしれない。【粟田卓也】

●目的 NIDDMにおいて強化インスリン療法による厳格な血糖コントロールが,細小血管合併症の発症および進展を予防するかを検討した。
●デザイン 無作為,オープン。
●試験期間 追跡期間は6年。
●対象患者 110例:インスリン治療中のNIDDM患者(中間型インスリン朝1回または朝夕2回)。28~68歳。網膜症はないか単純網膜症。尿中アルブミン排泄(UAE)量<300mg/日。血清クレアチニン<1.5mg/dL。治療を要する重篤な糖尿病性神経障害がない。
●方法 一次予防群(網膜症なく,UAE量<30mg/日)55例,および二次介入群(単純網膜症を有しUAE量<300mg/日)55例を,それぞれインスリン頻回注射療法(MIT)群(1日3回以上のインスリン注射)と中間型インスリン療法(CIT)群(1日1~2回の中間型インスリン注射)に割付け。
●結果 6年間の追跡期間中の空腹時血糖値,HbA1c値の平均は,MIT群はCIT群に比し有意に低値であった(それぞれ,126 vs. 164mg/dL,7.1 vs. 9.4%)。6年後の網膜症累積悪化率は,一次予防群,二次介入群とも,MIT群はCIT群と比較して有意に低率であった(それぞれ,7.7 vs. 32.0%,19.2 vs. 44.0%)。腎症の累積悪化率も,一次予防群,二次介入群とも,MIT群は有意に低率であった(それぞれ,7.7 vs. 28.0%,11.5 vs. 32.0%)。6年後の末梢神経伝導速度,振動覚は,MIT群では有意に改善したがCIT群で有意に悪化した。自律神経機能はMIT群で改善傾向,CIT群で悪化傾向を示した。
強化インスリン療法による網膜症の相対リスク低下率は,一次予防群76%,二次介入群56%,一方,腎症の相対リスク低下率は一次予防群,二次介入群において,それぞれ,微量アルブミン尿(UAE量≧30mg/日)62%,52%,蛋白尿(UAE量>300mg/日)100%,100%であった。重症低血糖の発症は認められず,体重増加も認められなかった。
●結論 インスリン頻回注射(強化インスリン療法)は日本人NIDDMにおいて,網膜症,腎症および神経障害の発症および進展を抑制する効果がある。