編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Estacio RO, Jeffers BW, Gifford N, Schrier RW: Effect of blood pressure control on diabetic microvascular complications in patients with hypertension and type 2 diabetes. Diabetes Care 2000; 23: B54-B64. [PubMed]

本研究の穏やかな血圧コントロールはUKPDSの強化療法の目標血圧値に近く,このレベルまで血圧を下げれば,これ以上降圧したとしても,腎機能保護という点では差がないと言えそうである。また全死亡率が強化コントロール群で低いということは,理想の降圧レベルは132/78mmHg以下ということになるのだろうか。【景山 茂

●目的 2型糖尿病を合併した高血圧患者において,強力な降圧療法と穏やかな降圧療法が糖尿病性合併症に及ぼす影響を検討した。一次エンドポイントは24時間クレアチニンクリアランス(Ccr)に及ぼす影響。二次エンドポイントは心血管イベント,網膜症,神経障害,尿アルブミン。
●デザイン 無作為,二重盲検。
●試験期間 追跡期間は5.3年。
●対象患者 470例:2型糖尿病における降圧療法を検討したABCD trialの登録患者950例中,高血圧(DBP≧90mmHg)の患者群。40~74歳。
除外基準:ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬とACE阻害薬にアレルギーのある者,6ヵ月以内の心筋梗塞・不安定狭心症,脳卒中の既往,3ヵ月以内の冠動脈バイパス手術,NYHA 3~4度の心不全,Ca拮抗薬とACE阻害薬の絶対適応,人工透析を受けている者,血清クレアチニンが3mg/dL以上の者。
●方法 患者を強化コントロール(目標DBP 75mmHg)群237例と,穏健コントロール(目標DBP 80~89mmHg)群233例に割り付け,さらに各群でCa拮抗薬nisoldipine(10~60mg/日)とACE阻害薬enalapril(5~40mg/日)とに割り付けた。
●結果 平均血圧は強化コントロール群で132/78mmHg,穏健コントロール群で138/86mmHgであった。追跡期間中のCcrは,両コントロール群間で,またnisoldipineとenalaprilの間で差は認められなかった。ベースライン時に正常・微量アルブミン尿の患者は,治療開始から1年後, いずれのコントロール群でもCcrが安定化した。一方,顕性アルブミン尿の患者は,いずれの群においてもCcrが5~6mL/分/1.73m²/年の速度で低下した。また,正常アルブミン尿から微量アルブミン尿への移行,微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への移行は,両群間で差がなかった。強化コントロール群では,全死亡率が少なかった(5.5 vs. 10.7%,p=0.037)。追跡期間中の糖尿病網膜症と神経障害の進展に,両群間では差がなく,さらに nisoldipineとenalaprilとの間にも差はなかった。
●結論 顕性アルブミン尿を伴わない高血圧の2型糖尿病患者では,最初の降圧治療としてnisoldipineあるいはenalaprilにより5年以上,血圧を138/86mmHgあるいは132/78mmHgにコントロールすると,腎機能が安定するように思われる。また,強力な降圧治療は全死亡率を低下させた。