編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年5月現在,1161報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Sayegh HA, Jarrett RJ: Oral glucose-tolerance tests and the diagnosis of diabetes: results of a prospective study based on the Whitehall survey. Lancet 1979; 2: 431-433. [PubMed]

-

●目的 耐糖能試験により糖尿病あるいは境界型糖尿病と診断された患者において,6~8年後の網膜病変の発生を調査した。
●デザイン 前向き。
●試験期間 追跡期間は6~8年。
●対象患者 Whitehall surveyに参加した男性で,耐糖能低下が認められた者(糖尿病37例,境界型糖尿病108例)と,対照群(糖尿病があり血糖値110mg/dL未満の男性70例)。
●方法 スクリーニング時,50g OGTT 2時間値200mg/dL以上の患者を糖尿病,それ以下を境界型糖尿病に分類した。その6~8年後に,前者のうち追跡可能であった37例を糖尿病群とし,後者を糖尿病に悪化している境界型(BWTD)群34例と境界型持続(PB)群74例に再分類し,これら患者について対照群70例と比較した。検査は,血圧,手指およびつま先の振動知覚,眼底,尿中アルブミン量について行い,年齢で層別化した(45~54,55~64,65歳以上)。
●結果 眼底検査では,糖尿病群37例中8例で網膜病変が見出され,うち5例は血管病変(微細動脈瘤,出血)をきたしていた(1例は失明)のに対し,境界型(BWTDおよびPB)群の網膜病変6例はすべて滲出病変のみであった。糖尿病群の網膜病変患者のうち,血糖の最低値は229mg/dLであった。SBPは,糖尿病群の55~64歳で対照群に対し,65歳以上で対照群およびPB群に対し有意に高かった。DBPも,糖尿病群で他の群に比べて高かった。振動知覚の閾値は,糖尿病群で高い傾向にあり,特につま先については55~64歳で対照群およびPB群に対し,65歳以上で対照群に対し有意に高かったが,この差は4群間で年齢とともに消失した。尿中アルブミン量は,糖尿病群とBWTD群の45~54歳および55~64歳で対照群およびPB群に対し,また65歳以上で対照群に対し有意に高かった。
●結論 境界型糖尿病群の耐糖能が,必ずしも網膜症のリスクがなくても糖尿病に悪化したという事実は,網膜症が顕在化するには長期の耐糖能低下をへる必要があることを示唆する。これは,現行の糖尿病の診断基準値を引き上げるべきであるという説を補強するものである。