編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Elliott RB, Pilcher CC, Fergusson DM, Stewart AW: A population based strategy to prevent insulin-dependent diabetes using nicotinamide. J Pediatr Endocrinol Metab 1996 ; 9: 501-509. [PubMed]

IDDMの予防トライアルが世界的にいくつか進行している。しかし現在のところ,いずれの方法も臨床的にルーチン化しているものはない。本トライアルは,実験動物(NODマウス)においてIDDM発症を遅らせることが証明されているnicotinamideを使用した,発症介入トライアルである。デザイン的には治療群に対する対照群を一般集団としており,問題がある。また,わが国におけるIDDMの発症率は人口10万人あたり,1~2人/年であり,本トライアル中の治療,対照の両群いずれの発症率よりも著しく低い。この結果をもとにわが国での臨床応用を考慮することはできず,より厳密にデザインされたトライアルの結果が出るのを待つ必要がある。【河盛隆造

●目的 膵島細胞抗体(ICA)テストと,nicotinamide(ナイアシン)による治療が小児のIDDM発症リスクを減らすかどうかを検討した。
●デザイン 無作為。
●試験期間 追跡期間は平均7.1年。
●対象患者 1988~1991年に,Auckland(ニュージーランド)に住む5~7.9歳の学童81993例。テスト群(33658例)と対照群(48335例)に無作為に割り付け,テスト群中,ICAテストを承諾した20195例(13463例は拒否)にテストを実施。抗体陽性(237例)と出て治療基準に合致した185例中173例にnicotinamide治療を開始。
一親等内にIDDM患者のいる生徒として試験に参加したことのある232例(5~7.9歳)は除外した。
●方法 nicotinamideは500mg×2回/日を経口投与。2.5年間中,治療は個々で任意に終了した。ICAが10 units以上なら治療は継続,2回の測定でICAが通常(10 units未満)なら治療は中止。1型糖尿病が発症した場合,nicotinamide治療は終了。10歳になったら投与量を1.5g/日にした。
●結果 糖尿病発症率は,対照群16.07(95%CI 12.4-20.5)/100,000人・年,治療群7.14(95%CI 3.1-14.1),テスト拒否群18.48(95%CI 10.1-31.0)であった。テスト群の糖尿病発症率は,テスト拒否+対照群の41%(95%CI 20-85)であった(p=0.008)。治療群とテスト拒否群をあわせても,糖尿病発症率は対照群よりも低かった(p=0.12)。
●結論 nicotinamideはIDDM進展の予防効果があるが,その信頼区間は広い。ENDIT study等のさらなる追跡により,予防効果の規模が限定されるだろう。