編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年1月現在,1144報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Elam MB, Hunninghake DB, Davis KB, Garg R, Johnson C, Egan D, Kostis JB, Sheps DS, Brinton EA: Effect of niacin on lipid and lipoprotein levels and glycemic control in patients with diabetes and peripheral arterial disease: the ADMIT study: A randomized trial. Arterial Disease Multiple Intervention Trial. JAMA 2000; 284: 1263-1270. [PubMed]

-

●目的 糖尿病患者において,脂質レベル改善用量のナイアシンnicotinic acidの有効性および安全性を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,2×2×2 factorial,縦断的回帰分析。
●試験期間 追跡期間は48週。1993年8月~1995年12月。
●対象患者 468例:ankle brachial index(上腕足関節血圧比)が0.85未満あるいは下肢血行再建術施行歴を有する末梢動脈疾患患者。うち125例が糖尿病症例。糖尿病の定義は,食事療法または薬物療法による糖尿病治療歴を有する場合,あるいはベースラインにおけるHbA1c値>7%の場合とした。
除外基準:コントロール不良の糖尿病(HbA1c>9.0%),糖尿病性ケトアシドーシスまたは昏睡の既往,腎疾患,肝疾患,痛風,高尿酸血症,消化性潰瘍,筋炎の既往,未治療の甲状腺機能低下症。重度の高トリグリセリド(TG)血症症例(>400mg/dL)のうち,ナイアシンのプラセボ群への割付けが不適切と考えられる症例,あるいはLDL-C値がナイアシンおよび/またはpravastatinによりコントロール不能と考えられる症例(LDL-C値>190mg/dL)。
●方法 12週のrun-in期間(4週ごとに即放性ナイアシンを100mg/日[分2]→500mg/日[分2]→1000mg/日[分2]に漸増投与)後,下記のとおりに無作為化。
ナイアシン(48週)群237例(うち64例が糖尿病症例)とプラセボ群231例(うち61例が糖尿病症例)。ナイアシンは6週ごとに1500mg/日[分2]→2000mg/日[分2]→3000mg/日[分2],または最大耐容用量まで漸増投与。空腹時血糖(FBG)値を6週ごとに測定した。
また,FBG値>189mg/dLかつHbA1c値>10%,6週・24週・48週後のHbA1c値>10%,尿酸値>595μmol/Lの場合はナイアシンを減量した。
ナイアシン最大耐容用量投与時(19週以降)にLDL-C値>130mg/dLの場合,115mg/dL未満となるようにオープンラベルでpravastatin 10~20mg/日を投与した。pravastatinの影響を避けるため,脂質値については18週後までのデータについて解析を行った。他については48週後までのデータを解析対象とした。
●結果 ナイアシン投与により,18週後の総コレステロール,LDL-C,TG,HDL-C値は,糖尿病症例(それぞれ4%,8%,23%減少,29%増加)および非糖尿病症例(それぞれ7%,9%,28%減少,29%増加)のいずれにおいても,プラセボ群に比し有意に改善された(すべてp<0.001)。このナイアシンの効果は,糖尿病症例および非糖尿病症例で同等であった。
FBG値は,ナイアシン投与により糖尿病症例で8.1mg/dL(p=0.04),非糖尿病症例で6.3mg/dL(p≦0.001)とわずかではあるが有意に上昇し,この影響は糖尿病症例で有意に大きかった(p=0.04)。しかし,その推移をみると,ナイアシン漸増期間である18週後までは一過性の上昇が認められたが,その後ベースラインまで低下していた。HbA1cについては,糖尿病症例のナイアシン群では変化はみられなかったが,プラセボ群では0.3%減少した(p=0.05)。一方,非糖尿病症例ではナイアシン投与による影響は認められなかった。また,尿酸値は糖尿病症例および非糖尿病症例のいずれにおいても,ナイアシン群で有意に増加した(p<0.001)。
糖尿病症例におけるインスリン使用頻度(p=0.09)および用量(p=0.68),血糖降下薬の使用(p=0.94)に対するナイアシンの影響について検討したところ,いずれもプラセボ群との間に有意差は認めなかった。また,非糖尿病症例のうち,ナイアシン投与により新たに経口血糖降下薬投与を要した症例は173例中1例のみであった。ナイアシン投与中止例は,糖尿病症例および非糖尿病症例(それぞれ23%,16%;p=0.20),糖尿病症例のナイアシン群およびプラセボ群(それぞれ23%,18%;p=0.46)でほぼ同等であった。
●結論 糖尿病患者において,脂質レベル改善用量のナイアシン投与は安全でありうることが示された。スタチン系薬剤やフィブラート系薬剤に対する忍容性のない患者,あるいは高TG血症やHDL-C低値の十分な改善が得られない患者に対しては,ナイアシン投与が代替療法として考慮される。