編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年3月現在,1155報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Shindler DM, Palmeri ST, Antonelli TA, Sleeper LA, Boland J, Cocke TP, Hochman JS: Diabetes mellitus in cardiogenic shock complicating acute myocardial infarction: a report from the SHOCK Trial Registry. SHould we emergently revascularize Occluded Coronaries for cardiogenic shocK? J Am Coll Cardiol 2000; 36: 1097-1103. [PubMed]

糖尿病患者が心筋梗塞に罹患した際には,非糖尿病患者に比べて予後が悪く,血管形成術(PTCA)やバイパス術(CABG)の予後も悪いといわれている。本研究では,糖尿病患者が心筋梗塞やそれに基づく心原性ショックに陥った場合には,入院中の死亡率はみかけ上は悪いが,種々の因子で補正すると必ずしもそうではなく,非糖尿病患者と同程度の血栓溶解療法やPTCAやCABGのメリットを得られることを示唆している。【片山茂裕

●目的 心原性ショック(CS)を併発した急性心筋梗塞(AMI)患者における糖尿病の影響を検討した。
●デザイン 前向き,多施設,ロジスティック回帰分析。
●試験期間 登録期間は1993年4月~1997年8月。
●対象患者 SHOCK Trial Registry登録患者(CS発症が疑われるAMI患者)のうち,重度の急性僧帽弁閉鎖不全,心室中隔破裂,右室不全,心タンポナーデまたは心破裂,重度の弁膜症の既往,拡張型心筋症,出血によるCS症例を除いた1190例で,糖尿病の罹患状況が明らかな1163例(糖尿病症例379例,非糖尿病症例784例)。
●方法 SHOCK Trial Registryのデータから,患者背景,梗塞,血行動態,治療,退院時の状態に関するデータを抜粋し,標準化された症例報告形式で記録した。血管造影に関するデータはClinical Coordinating Centerに集められ,標準形式にまとめられた。
症例報告書から糖尿病の罹患状況を確認し,糖尿病症例と非糖尿病症例の比較を行った。
●結果 糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて,2つ以上の誘導でQ波を示す率が低く(25 vs. 36%),CKの上昇程度が低く(1358 vs. 1981 IU/L),2あるいは3枝病変のことが多く,駆出率も有意に低かった(30 vs. 34%)。ただ,胸痛を訴える頻度は差がなかった(80 vs. 84%)。
治療については,糖尿病症例で血栓溶解療法施行例(28 vs. 37%,p=0.002)および血行再建術(血管形成術およびバイパス術)施行例(40 vs. 49%,p=0.008)が有意に少なかった。
次に,入院中の死亡率について検討したところ,補正前は糖尿病症例67%,非糖尿病症例58%と,糖尿病症例で有意に高かった(p=0.007)。ロジスティック回帰モデルを用いてベースライン時の患者背景の差(ショック発現時の拡張期血圧,ヒスパニックの割合,重篤な全身疾患)を補正しても,糖尿病は入院中の死亡に関する独立した予測因子であった(オッズ比1.47,95%CI 1.10-1.96,p=0.009)。しかし,患者背景に加えて治療の差(ショック発現時の拡張期血圧,重篤な全身疾患,血栓溶解療法,血管形成術またはバイパス術)を補正すると,糖尿病と入院中の死亡に関する有意性は弱くなった(オッズ比1.36,95%CI 1.00-1.84,p=0.051)。これらに加え,さらにベースライン時のBUN(n=673)を補正したところ,糖尿病は有意な予測因子ではなかった(オッズ比1.23,95%CI 0.85-1.78,p=0.268)。
また,血行再建術を受けた患者の生存率に対する効果は,糖尿病症例(血行再建術施行例55 vs. 非施行例19%)および非糖尿病症例(それぞれ59 vs. 25%)で同等であった(p=0.303)。
●結論 AMI併発CSを発症した糖尿病患者の死亡リスクは,非糖尿病患者に比較してより高かった。しかし,リスク因子補正後は,入院中の生存率の差はわずかであった。また,血行再建術の生存率改善効果は,糖尿病患者および非糖尿病患者でほぼ同等であった。