編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Effect of fenofibrate on progression of coronary-artery disease in type 2 diabetes: the Diabetes Atherosclerosis Intervention Study, a randomised study. Lancet 2001; 357: 905-910. [PubMed]

糖尿病では高TG血症の頻度が高い。動脈硬化リスク因子として高TG血症の関与を示す成績がいくつか報告されているが,糖尿病におけるTGコントロールを目的とした大規模研究の多くはいまだ進行中であった。本研究はその中のひとつであり,2型糖尿病患者に対するフィブラートの効果を冠動脈造影で検討している。対象は臨床的CADの既往があった者,無かった者をあわせたものであり,最低3年間の治療を行った。その結果fenofibrate群では明らかに冠動脈の病変進行度が緩やかであり,糖尿病患者でのフィブラート療法の有用性が推測された。しかし死亡,心筋梗塞などの臨床的エンドポイントへのfenofibrateの影響を判定するには当試験の統計的パワーが不足していた。イベント抑制効果を検討する目的で現在進行中であるFIELD(Fenofibrate Intervention and Event Lowering in Diabetes)の結果が待たれる。【河盛隆造

●目的 2型糖尿病患者において,抗高脂血症薬fenofibrateによるリポ蛋白異常の改善が冠動脈疾患に対する進展抑制効果を有するかどうかについて検討した。
一次エンドポイントは平均最小内腔径,平均セグメント径,平均狭窄度。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設*,intention-to-treat解析。
*Canada,Finland,France,Sweden
●試験期間 治療期間は3年以上(追跡期間は6ヵ月)。
●対象患者 418例: 2型糖尿病患者。HbA1c平均値7.53%。40~65歳。
登録基準:
(1)脂質値:総コレステロール(TC)/HDL-C比が4以上,かつLDL-C値3.5~4.5mmol/Lでトリグリセリド(TG)値5.2mmol/L以下,またはTG値1.7~5.2mmol/LでLDL-C値4.5mmol/L以下。
(2)糖尿病:非治療時の空腹時血糖値7.8mmol/L以上,または75g経口ブドウ糖負荷2時間後の血糖値11.0mmol/L以上,または血糖降下薬を投与されている患者。35歳以降に発症が認められた患者。ケトアシドーシスの既往がない患者。十分な血糖コントロールが得られている患者(HbA1c値が正常上限の170%未満)。
(3)ベースライン時の血管造影所見で1つ以上の可視病変が認められる患者。
(4)冠インターベンションの施行歴を有する場合,6ヵ月以上前に終了している患者。
※(1)および(2)は8週間の食事療法(AHA/National Cholesterol Education Program step 1)期間中にすべての脂質低下薬を中止して評価。
●方法 micronised fenofibrate 200mg/日(3年以上)投与群(207例)とプラセボ群(211例)に無作為化。その際,性別,冠インターベンション施行歴,治療施設ごとに層別割付けを行った。置換ブロック割付け法を使用。
・ベースライン時の食事療法を治療期間中継続。
・TC値,TG値,HDL-C値を4ヵ月ごとに測定。LDL-C値はフリーデワルドの式より算出。
・ベースライン時および試験終了時に血管造影を実施。
●結果 TC値,HDL-C値,LDL-C値,TG値は,プラセボ群に比しfenofibrate群で有意に低下した(いずれもp<0.001)。また,fenofibrate群では,狭窄度の増大が42%抑制され(2.11 vs. 3.65%,p=0.02),最小内腔径の縮小が40%抑制され(-0.06 vs. -0.10mm,p=0.029),平均セグメント径の縮小が25%抑制された(-0.06 vs. -0.08mm,p=0.171)。血管造影所見の変化と治療期間における平均TC値,LDL-C値,HDL-C値,TG値の間には相関が認められた。fenofibrateの効果は性別,冠インターベンション施行歴,血管造影所見上の疾患の重症度によるいずれのサブグループにおいても同等であった。
症例数およびイベント数が少ないため,臨床エンドポイントについて最終的な結論を得るには至らなかったが,エンドポイント発現症例はfenofibrate群38例,プラセボ群50例とfenofirate群で減少傾向が認められた(治療期間および6ヵ月の追跡期間中における各イベント発現症例:死亡;fenofibrate群6例 vs. プラセボ群9例,心筋梗塞;9 vs. 12例,冠動脈形成術;5 vs. 13例,冠動脈バイパス術;14 vs. 18例)。
治療期間および追跡期間中に重篤な有害事象はほとんどみられず,両群間に有意差は認められなかった。
●結論 fenofibrateは2型糖尿病患者において,冠動脈疾患の進展抑制効果を有することが示された。また,軽度のリポ蛋白異常でも,それを改善させることで冠動脈疾患のリスクを減らすと考えられた。