編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Effect of pregnancy on microvascular complications in the diabetes control and complications trial. The Diabetes Control and Complications Trial Research Group. Diabetes Care 2000; 23: 1084-1091. [PubMed]

妊娠者において,強化インスリン療法と従来インスリン療法はどちらも,網膜症の発症や悪化はあるが長期的には非妊娠者と変わらないという結果である。しかしこの結果から,妊娠中の網膜症をすべて放置してよいということにはならない。少数例ではあるが増殖網膜症に進行する症例もあり,光凝固治療はもちろんのこと,硝子体手術も必要な症例が確実に存在する。【梯 彰弘】

●目的 女性の1型糖尿病患者において,妊娠が網膜症および微量アルブミン尿の発生と進行に及ぼす影響を評価した。
●デザイン 多施設。
●試験期間 追跡期間は平均6.5年。
●対象患者 680例:DCCTに参加した女性患者。13~39歳。罹病期間1~15年の1型糖尿病患者。
除外基準:無作為化の時点で妊娠中あるいは2年以内に妊娠を予定または希望している者。
●方法 患者を,強化療法群(345例)または従来療法群(335例)に割付け。従来療法群で妊娠を希望するか受胎した者は強化療法に転向し,分娩または妊娠中止後は従来療法を再開。眼底撮影を6ヵ月ごと,尿アルブミン排泄率(AER)およびクレアチニンクリアランス算出による腎機能の評価を毎年,血糖コントロール測定を妊娠前は3ヵ月ごと,妊娠中は毎月行った。妊娠中は,第1三半期,第2三半期,第3三半期に分類して評価。
●結果 1983年8月~1993年6月に,妊娠しなかった者(非妊娠者)500例,妊娠した者(妊娠者)180例(妊娠270例)であった。妊娠者のうち,強化インスリン療法(強化療法)群94例(妊娠135例),従来インスリン療法(従来療法)群86例(妊娠135例)で,従来療法群の中で受胎前に強化療法に転向したのは64例(妊娠113例),受胎後に転向したのは22例(妊娠22例)であった。
網膜症の進行は,従来療法群で妊娠者の51%,非妊娠者の31%(オッズ比[OR]2.48,p<0.001),強化療法群でそれぞれ31%,23%(OR 1.63,p<0.05)で認められた。従来療法群では,ベースライン時から3段階以上の網膜症進行のORは妊娠者 vs. 非妊娠者2.90(p=0.003)で,妊娠第2三半期に最高となり(4.26,p=0.001),この傾向は妊娠後12ヵ月まで続いた(2.87,p=0.005)。強化療法群では,妊娠中のAERはベースライン時から有意に上昇したが,大半の患者で正常範囲内であった。妊娠中に網膜症や微量アルブミン尿(AER≧40mg/日)の一時的悪化がみられた例もあったが,試験終了時には両群において非妊娠者と妊娠者の状態は同等であった。
●結論 1型糖尿病患者では,妊娠中に網膜症リスクが一時的に上昇し,妊娠中および分娩後1年間は眼科的検査の必要性が高くなる。しかし,妊娠によって早期網膜症およびアルブミン排泄進行の長期的リスクが上昇することはないことが示唆された。