編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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The European Study for the Prevention of Renal Disease in Type 1 Diabetes Study Group.: Effect of 3 years of antihypertensive therapy on renal structure in type 1 diabetic patients with albuminuria: the European Study for the Prevention of Renal Disease in Type 1 Diabetes (ESPRIT). Diabetes 2001; 50: 843-850. [PubMed]

3年間の降圧治療では腎糸球体構造の改善はみられず,さらに長期の検討が必要である。【片山茂裕

●目的 アルブミン尿が認められる正常血圧の1型糖尿病患者において,ACE阻害薬enalaprilまたはCa拮抗薬nifedipineによる降圧療法の腎(糸球体および間質)微細構造に及ぼす影響を比較検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設*,パイロット試験。
*UK,Italy
●試験期間 試験期間は3年。
●対象患者 54例:アルブミン尿が認められる正常血圧の1型糖尿病患者。18~65歳(平均年齢38歳)。男性34例,女性20例。40歳未満の時点で診断されたCペプチド低値(空腹時レベル<20pmol/L)の1型糖尿病,アルブミン排泄率(AER)30~1500μg/分,糸球体濾過率(GFR)>70mL/分,血清クレアチニン<130μmol/L,降圧療法非実施で坐位血圧150/90mmHg以下。
除外基準:コントロール不良の糖尿病(HbA1c>6SDs+正常値),降圧療法または非ステロイド性鎮痛薬の投与,高カリウム血症,他の腎または尿路疾患,肝疾患,最近の脳血管または心疾患の既往,妊娠,腎生検に対する禁忌。
●方法 患者をenalapril群(10mg/日)18例,徐放性nifedipine群(20mg/日)18例,プラセボ群18例の3群に無作為化。
・腎生検をベースライン時および3年後に実施して微細構造を検討。
・血圧,GFR,AER,HbA1cを6ヵ月ごとに測定。
・SBP>160mmHgまたはDBP>100mmHg,あるいはベースライン時から血圧が30%以上上昇した患者には試験薬を倍量にし,さらに必要なら他の降圧薬(サイアザイド系利尿薬,methyldopa,hydralazine)の追加投与を行った。
●結果 enalapril群では,6ヵ月後におけるAERが26%低下したが(p<0.05),この有意な蛋白尿抑制効果は6ヵ月以降消失した。一方,nifedipine群およびプラセボ群では,試験期間を通じてAERの有意な変化は認められなかった。GFRの平均低下率は3群とも4.1mL/分/年(95%CI 2.6-5.6mL/分/年)と同等であった。血圧およびHbA1cについては,3群とも試験期間を通じて有意な変化はみられなかった。
ベースライン時の生検組織が解析可能であった50例(enalapril群16例,nifedipine群17例,プラセボ群17例)のほぼ全例で,典型的な糖尿病性糸球体硬化症が認められたことから,AER上昇例では糸球体硬化症が発症していることが示された。
ベースライン時および3年後の生検組織の両方が解析可能であった42例(enalapril群15例,nifedipine群11例,プラセボ群16例)の検討では,いずれの群においても,試験期間中に腎構造パラメータの有意な変化はみられなかった。enalapril群でも,6ヵ月後にAERが低下したにもかかわらず,Vv mes(糸球体間質の容積分画)およびVv mat(糸球体基質の容積分画)は試験期間中一定していた。ただし,ベースライン時のAERは,3年後のVv mesの有意な予測因子であった(r²=0.20,p=0.0018)。
●結論 アルブミン尿が認められる正常血圧の1型糖尿病患者において,enalaprilあるいはnifedipineの投与はいずれも,腎構造異常の進展に影響を及ぼさなかった。