編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Shichiri M, Kishikawa H, Ohkubo Y, Wake N: Long-term results of the Kumamoto Study on optimal diabetes control in type 2 diabetic patients. Diabetes Care 2000; 23: B21-B29. [PubMed]

Kumamoto studyの8年間の結果であり,2型糖尿病患者におけるインスリン強化療法が細小血管障害の予防に有用なことが改めて示された。【片山茂裕

●目的 日本人の2型糖尿病において,インスリン頻回注射療法による強化血糖コントロールが,細小血管合併症の発症および進展に及ぼす効果を従来インスリン療法と比較した。
●デザイン 無作為,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は8年。
●対象患者 110例:1日1~2回の中間型インスリン療法を受けている2型糖尿病患者。網膜症はないか単純網膜症。尿中アルブミン排泄(UAE)量<30mg/24h。血清クレアチニン値<1.5mg/dL。治療を要する重篤な神経障害がない。70歳未満。
●方法 患者を一次予防群(網膜症なく,UAE量<30mg/24h)55例と二次介入群(単純網膜症があり,UAE<300mg/24h)55例に分け,それぞれインスリン頻回注射療法(MIT)群(短時間作用型インスリンを毎食時+中間型インスリンを就寝時に注射)と従来インスリン療法(CIT)群(中間型インスリンを1日1~2回注射)の2群に無作為割付け。試験開始後3ヵ月,以後6ヵ月ごとに血糖コントロール(HbA1c,空腹時血糖[FBG]値,平均血糖値,血糖日内変動コントロールの指標であるSchlichtkrullのM値,MAGE;mean amplitude glycemic excursions),および細小血管合併症(網膜症,腎症,神経障害)の状態を評価した。
●結果 8年後の血糖コントロールに関する各値は,CIT群に比しMIT群で有意に低かった(p<0.001)。網膜症の発症および進展の累積率は,一次予防群でMIT群15.4%,CIT群47.8%(p=0.022),二次介入群でMIT群24.0%,CIT群56.0%(p=0.023)とMIT群で有意に低かった。腎症(蛋白尿)の発症の累積率は,一次予防群でMIT群11.5%,CIT群43.5%(p=0.029),二次介入群でMIT群16.0%,CIT群40.0%(p=0.043)とMIT群で有意に低かった。神経学的検査では,MIT群で神経伝導速度(運動・感覚神経)の有意な改善(p<0.05)がみられたのに対し,CIT群では神経伝導速度および振動域の有意な悪化がみられた(p<0.05)。細小血管合併症の発症および進展の予防には,HbA1c<6.5%,FBG<110mg/dL,食後2時間血糖値<180mg/dLの血糖コントロールが有効とみられた。
●結論 強化血糖コントロールは,日本人の2型糖尿病患者において,糖尿病性細小血管合併症の発症および進展を早期の段階で遅らせることができる。