編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Yusuf S, Sleight P, Pogue J, Bosch J, Davies R, Dagenais G: Effects of an angiotensin-converting-enzyme inhibitor, ramipril, on cardiovascular events in high-risk patients. The Heart Outcomes Prevention Evaluation Study Investigators. N Engl J Med 2000; 342: 145-153. [PubMed]

従来のACE阻害薬を用いた試験と同様にramiprilもまた糖尿病性腎症の進行を抑制した。また,CAPPPではcaptoprilによる糖尿病発症リスクの低下が示されたが,本研究でもこれを再確認した。特筆すべきは血圧降下をきたすことなく,一次・二次エンドポイントを改善し,ramiprilの降圧を介さない臓器保護作用を示した点である。【景山 茂

●目的 心血管イベント高リスクで,左室機能障害もしくは心不全のない患者においてACE阻害薬ramiprilまたビタミンEが心血管イベント,死亡,脳卒中のリスクを低下させるか否かを検討した。一次エンドポイントは心筋梗塞(MI),脳卒中,心血管死,およびこれらの複合エンドポイント。二次エンドポイントは全死亡,血行再建,不安定狭心症または心不全による入院,糖尿病合併症。糖尿病患者については,糖尿病性腎症,網膜症も評価。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,2×2 factorial。
●試験期間 追跡期間は4~6年。
●対象患者 9541例(うち糖尿病患者3654例):55歳以上。動脈硬化性疾患(冠動脈疾患,脳卒中,末梢血管疾患)を有するか,あるいは糖尿病に他の冠リスク因子(高血圧,高コレステロール血症,低HDL-C血症,喫煙,微量アルブミン尿)を1つ以上有する心血管イベントの高リスク患者。
除外基準:駆出率<40%の心不全。ACE阻害薬またはビタミンEを使用中。未治療の高血圧または顕性腎症。MIまたは脳卒中発症後4週以内。
●方法 ramipril群(4645例:10mg/日,244例:2.5mg/日),プラセボ群(4652例)に割付け。また,ビタミンE群(4761例:400IU/日),プラセボ群(4780例)に割付け。割付け後1ヵ月,6ヵ月,以後6ヵ月ごとに各エンドポイントについて評価。
●結果 ramiprilの血圧に対する効果は小さかった。開始時血圧は両群とも139/79mmHg,終了時ramipril群137/76mmHg,プラセボ群139/77mmHg。4.5年後の一次エンドポイントの発症は,プラセボ群の826例(17.8%)に対し,ramipril群で651例(14.0%)であった(相対リスク[RR]0.78,95%CI 0.70-0.86)。糖尿病患者では,ramiprilによる一次エンドポイントのRR低下は25%(95%CI 12-36%),腎症進行のRR低下は24%(95%CI 3-40%)であった。レーザー治療の必要性から判断した糖尿病網膜症に対する効果はみられなかった。二次エンドポイントでは,血行再建,糖尿病合併症のリスクがramipril群で低下した。試験期間中,新たに糖尿病と診断された患者は,プラセボ群の155例(5.4%)に対しramipril群で102例(3.6%)であった(RR 0.66,95%CI 0.51-0.85)。ビタミンE群はプラセボ群に対し一次エンドポイントのRRが1.05であった(95%CI 0.95-1.16)。(cf. Cleve Clin J Med 2000; 67: 287-293. [PubMed]
●結論 左室機能障害もしくは心不全のない,心血管イベント高リスクの患者において,ramiprilは死亡,MI,脳卒中の発症率を有意に低下させる。一方,ビタミンEは平均4.5年の期間では明らかな効果をもたらさなかった。