編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年1月現在,1144報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Gerstein HC, Mann JF, Yi Q, Zinman B, Dinneen SF, Hoogwerf B, Halle JP, Young J, Rashkow A, Joyce C, Nawaz S, Yusuf S; HOPE Study Investigators: Albuminuria and risk of cardiovascular events, death, and heart failure in diabetic and nondiabetic individuals. JAMA 2001; 286: 421-426. [PubMed]

微量アルブミン尿が心血管イベントのリスク因子であることはよく知られているが,糖尿病腎症を対象に設けた微量アルブミン尿の診断基準以下であっても,アルブミン尿は心血管イベントのリスク因子となることが示され,興味深い。アルブミン尿は糖尿病腎症のみならず心血管イベントの予知因子であることを考えると,アルブミン尿の診断基準も再検討の必要があるかもしれない。【景山 茂

●目的 微量アルブミン尿を有する糖尿病および非糖尿病患者において,心血管イベントリスクを評価し,微量アルブミン尿の閾値以下のアルブミン尿で心血管リスクが増加するかどうかを検討した。
一次エンドポイントは心筋梗塞,脳卒中,心血管死の複合イベント。二次エンドポイントは全死亡,うっ血性心不全(CHF)による入院。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設。
●試験期間 追跡期間は4.5年(中央値)。試験期間は1994~1999年。
●対象患者 9043例:HOPE登録患者のうち,ベースライン時に尿中アルブミン・クレアチニン比(ACR)測定が実施された症例。糖尿病患者3498例,非糖尿病患者5545例。≧55歳。心血管疾患(冠動脈疾患,脳卒中,末梢血管疾患)の既往,または糖尿病に心血管リスク因子(総コレステロール>200mg/dL,HDL-C≦35mg/dL,高血圧,微量アルブミン尿,喫煙)を1つ以上有する。
除外基準:dipstick-positive蛋白尿,糖尿病腎症,他の重症腎疾患,高カリウム血症,CHF,駆出率低値,ビタミンEまたはACE阻害薬に対する過敏症。
●方法 患者を,ACE阻害薬ramipril(10mg)投与群またはプラセボ群に割付け。
尿中ACR測定をベースライン時,1年時,試験終了時に実施。追跡調査を6ヵ月ごとに実施。
●結果 微量アルブミン尿(尿中ACR≧17.7mg/gCr)は,糖尿病患者1140例(32.6%),非糖尿病患者823例(14.8%)に認められた。
微量アルブミン尿症例では非微量アルブミン尿症例に対して各イベントの相対リスク(RR)が増加し,心血管イベント1.83(95%CI[以下同]1.64-2.05),全死亡2.09(1.84-2.38),CHFによる入院3.23(2.54-4.10)であった(すべてp<0.001)。糖尿病の有無に分けて検討しても微量アルブミン尿症例でリスクが増加し,糖尿病患者ではそれぞれ1.97(1.68-2.31),2.15(1.78-2.60),3.70(2.64-5.17),非糖尿病患者ではそれぞれ1.61(1.36-1.90),2.00(1.65-2.41),2.20(1.40-3.26)であった(すべてp<0.001)。
患者をベースライン時のACRに基づいて4群に分類し(<1.9mg/gCr,1.9~5.0mg/gCr,5.1~14.3mg/gCr,>14.3mg/gCr),最低値群に対する心血管イベントのRRを検討すると,第2分位群1.11(0.95-1.30),第3分位群1.38(1.19-1.60),第4分位群1.97(1.73-2.25)と,微量アルブミン尿以下でもACR上昇に伴うリスク増加が認められた(p for trend<0.001)。全死亡,CHFによる入院についても同様であった(いずれもp for trend<0.001)。さらに,微量アルブミン尿症例を除外してもこのリスク増加は認められ,糖尿病の有無に分けて検討しても同様であった。
ACR が3.5mg/gCr上昇することによる各イベントのハザード比の増加は,心血管イベント5.9%(4.9-7.0%),全死亡6.8%(5.6-8.0%),CHFによる入院10.6%(8.4-13.0%)であった。
●結論 糖尿病および非糖尿病患者のいずれにおいても,アルブミン尿は微量アルブミン尿の閾値以下のレベルでも心血管イベントのリスク因子であり,リスクはACRに伴い増加することが示された。アルブミン尿のスクリーニングにより,心血管イベント高リスク症例が特定される。