編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Valle D, Santoro D, Bates P, Scarpa L; Italian Multicentre Lispro Study Group: Italian multicentre study of intensive therapy with insulin lispro in 1184 patients with Type 1 diabetes. Diabetes Nutr Metab 2001; 14: 126-132. [PubMed]

insulin lisproは皮下からの吸収が迅速であり,血中からの消失も速やかである。わが国でもすでに市販されており,ヒトレギュラーインスリンに比べ,食後1,2時間の血糖上昇を明らかに抑制する。しかし,そのぶん作用持続時間は短い。1型糖尿病患者のボーラスインスリンをレギュラーからlisproに変えた場合,NPH投与回数が増えることが多い。本研究でも投与回数は増えており,注射回数を抑えるためにボーラスのlisproとNPHの混注が行われている。1型糖尿病の治療においては,将来発売されるinsulin lisproと中間型インスリンのプレミックスド製剤の利用価値は高いものと考えられる。【河盛隆造

●目的 1型糖尿病患者において,insulin lisproとヒトレギュラーインスリンの臨床効果を比較検討した。
●デザイン 無作為,オープン,パラレル,多施設。
●試験期間 試験期間は3ヵ月。
●対象患者 1184例:イタリア人の1型糖尿病患者。インスリン治療期間≧60日(平均14年)。HbA1c値≧7.5%(平均8.7%)。男性663例,女性521例。平均38.7歳。平均BMI 24.3kg/m²。
除外基準:臨床的に関連のある合併症,インスリンアレルギー,インスリン投与>2IU/kg/日,臨床的に重大な無自覚性低血糖,過去1年の低血糖による入院≧2回。
●方法 run-in期間後,患者をlispro群(586例)とレギュラー群(598例)に割付け。
・run-in期間(2週)は,ヒトレギュラーインスリンを3回/日(食前30分),基礎NPHインスリンを1~3回/日投与(総投与回数≦4回/日となるよう両剤を混合または個別に投与)。用量および投与回数は,代謝必要量,食習慣,低血糖の発現状況に基づいて調整。
・割付け後は,lispro群ではinsulin lispro(食直前)を,レギュラー群ではヒトレギュラーインスリン(食前30分以上)をボーラス投与し,両群で基礎NPHインスリンを投与。用量および投与回数は,目標血糖値(食前80~140mg/dL,食後<180mg/dL)に達成するよう,登録時,ベースライン時,15日後,45日後,90日後に調整。
・血糖自己測定を6回/日(各食前および食後2時間)行い,ベースライン時と90日後の直前(連続しない2日間)の測定値を解析対象とした。
・空腹時血糖値および血清HbA1c値をベースライン時と90日後に測定。
・低血糖の発現状況と,用量および投与時間のコンプライアンスを記録。
●結果 NPHインスリン投与回数(/日)は,ベースライン時(1回71%,2回25%,3回4%)に比してレギュラー群では変化はなかったが(63%,31%,6%),lispro群では増加した(45%,35%,20%)。しかし,総投与回数(/日)は両群とも3~4回と変化はなかった。投与時間のコンプライアンスは,レギュラー群(7%)に比してlispro群(98%)で有意に良好であった(p<0.001)。
90日後における血糖値(食前,食後2時間)は,レギュラー群では有意な変化はなく,lispro群では食前値に有意な変化はなかったが,食後2時間値は朝食(p<0.001),昼食(p<0.005),夕食(p<0.001)のいずれも有意に低下した。
90日後におけるHbA1c値は,両群ともベースライン時に比して有意に低下した(p<0.001)が,HbA1c値が非常に不良(≧10%)症例および不良(8~10%)症例の減少程度はlispro群でより大きく,許容(<8%)症例の増加程度もより大きかった。
低血糖の発現率は,両群ともベースライン時に比して有意に低下した(p<0.001)が,重度症例についてはレギュラー群で有意に増加したのに対しlispro群では変化はなく,両群間に有意差が認められた(p<0.001)。
●結論 insulin lisproはヒトレギュラーインスリンに比し,重度の低血糖を増加させることなく,血糖コントロールをより改善することが示された。