編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Witthaus E, Stewart J, Bradley C: Treatment satisfaction and psychological well-being with insulin glargine compared with NPH in patients with Type 1 diabetes. Diabet Med 2001; 18: 619-625. [PubMed]

超速効型インスリンであるglargineとNPHの患者満足度および幸福感を比較したものである。この報告は,欧州における第III相臨床試験に基づくものであり,glargineはすでに米国とドイツにおいて市販されている。【河盛隆造

●目的 1型糖尿病患者において,インスリンglargine治療とNPHインスリン治療に対する満足度および心理的幸福感を比較検討した。一次アウトカムは,糖尿病治療満足度質問表(DTSQ)および幸福感質問表(W-BQ)のスコアの変化。
●デザイン 無作為,オープン,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 治療期間は28週。
●対象患者 517例:欧州10ヵ国から選出された1型糖尿病患者。インスリン治療期間≧1年。ベースライン時と治療施行時のデータが得られた者。
●方法 4週間のスクリーニング期間後,患者をglargine群(261例)とNPH群(256例)に割付け。
・皮下注射をglargine群は1日1回(就寝時),NPH群は1日1回以上行った。用量は,両群とも食前の自己測定血糖値80~120mg/dLを目標として調整した。
・両群とも食前にヒトレギュラーインスリンを投与した(insulin lisproを投与されていた患者ではヒトレギュラーインスリンに変更した)。
・DTSQとW-BQによる調査をベースライン時,8週後,20週後,28週後,エンドポイント時に実施し,ベースライン時からの変化について共分散分析を行った。DTSQでは,治療満足度(6項目),高血糖および低血糖の自覚頻度(各1項目)を0~6のスコアで評価, W-BQでは,全般的幸福感(22項目)を0~3のスコアで評価した。
●結果 DTSQの治療満足度は,glargine群でベースライン時からエンドポイント時までに1.27ポイント上昇したのに対し,NPH群では0.56ポイント低下した。また,glargine群ではすべての評価時点においてスコアが上昇したのに対し,NPH群ではわずかながら低下し,試験期間を通じて両群間に有意差が認められた(8週後:p=0.0020,20週後:p=0.0012,28週後およびエンドポイント時:p=0.0001)。
高血糖の自覚頻度は,両群ともすべての評価時点において低下し,28週後およびエンドポイント時における低下の程度は,glargine群で有意に大きかった(p=0.0373,0.0379)。低血糖の自覚頻度は,両群ともほとんどの評価時点でやや増加したが,20週後ではglargine群で有意に良好であった(p=0.0024)。
W-BQの全般的幸福感は,glargine群で1.22ポイント,NPH群で1.57ポイント上昇したが,試験期間を通じて両群間に有意差は認められなかった。
●結論 全般的幸福感は治療法に関わらず改善が認められた。治療満足度は,試験期間を通じてglargine群で有意に改善され,同群は高血糖の自覚頻度がNPH群より低く,低血糖の自覚頻度は有意な増加が認められなかった。