編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Elkeles RS, Diamond JR, Poulter C, Dhanjil S, Nicolaides AN, Mahmood S, Richmond W, Mather H, Sharp P, Feher MD: Cardiovascular outcomes in type 2 diabetes. A double-blind placebo-controlled study of bezafibrate: the St. Mary's, Ealing, Northwick Park Diabetes Cardiovascular Disease Prevention (SENDCAP) Study. Diabetes Care 1998; 21: 641-648. [PubMed]

スタチン系薬と異なり,フィブラート系薬では,いまだ心血管イベントの抑制が明確に示されていない。本研究においても,血清脂質に対する効果の確認にとどまっている。【景山 茂

●目的 2型糖尿病患者において,従来の糖尿病治療に高脂血症用薬bezafibrateによる血清脂質低下療法を追加した場合の,心血管アウトカムに及ぼす影響を検討した。
一次エンドポイントは頸動脈内膜-中膜壁肥厚(IMT)および動脈超音波スコア(AUS)。二次エンドポイントは明確な冠動脈心疾患(CHD)イベント(心筋梗塞またはミネソタコードによる安静時心電図[ECG]所見の虚血性変化)。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設。
●試験期間 追跡期間は3~5年。登録開始は1990年6月。
●対象患者 164例:臨床的心血管疾患の既往のない2型糖尿病患者。男性117例,女性47例。食事療法および/または経口血糖降下薬療法を実施。35~65歳。血清コレステロール値≧201mg/dL,血清トリグリセリド(TG)値≧159mg/dL,HDL-C値≦43mg/dL,総コレステロール(TC)/HDL-C比≧4.7のいずれかに該当。
除外基準:血清TG値>709mg/dLまたは血清コレステロール値>309mg/dLかつTC/HDL-C比≧7.2。腎障害(血清クレアチニン値≧1.7mg/dL)。過去1年のdipstick-positive蛋白尿。臨床的に検出可能な網膜症または神経障害。肝機能障害(トランスアミナーゼ値>正常上限の2倍)。ECG胸壁マッピング検査陽性。重症高血圧(SBP≧180mmHgおよび/またはDBP≧110mmHg)。頸動脈超音波検査によるgrade D以上の頸動脈狭窄(≧50%)。重篤な急性または慢性疾患。コンプライアンス不良またはアルコール依存歴。抗凝固薬または脂質低下薬の投与歴。
●方法 患者を,bezafibrate(400mg/日)群(81例)とプラセボ群(83例)に割付け。
・全例に通常の糖尿病治療と食事指導を実施。
・6ヵ月ごとに生化学検査,1年ごとに非侵襲性血管評価(頸動脈および大腿動脈のBモード超音波検査によるIMTおよびAUS評価)とCHD関連事項(既往歴,WHO心血管質問票,安静時および運動時ECG)を記録。
●結果 ベースライン時から3年後の変化を見ると,bezafibrate群ではプラセボ群に比して,血清TG中央値(-32 vs. 4%;p=0.001),血清TC中央値(-7 vs. -0.3%;p=0.004),TC/HDL-C比(-12 vs. -0.0%;p=0.001)が有意に低下し,血清HDL-C中央値(6 vs. -2%;p=0.02)は有意に増加した。また,フィブリノーゲン値もbezafibrate群で大きく低下する傾向があった(-18 vs. -6%;p=0.08)。しかし,超音波計測による動脈疾患の進行は両群間に有意差は認められなかった(頸動脈最大IMT[0.06 vs. 0.02mm;p=0.5],AUS[1.17 vs. 0.91;p=0.4])。一方,明確なCHDイベントの累積発生率はbezafibrate群で有意に減少した(7 vs. 23%;p=0.01,log-rank test)。
●結論 2型糖尿病患者では,脂質代謝異常の改善は超音波計測による動脈疾患の進行には影響を及ぼさなかった。しかし,明確なCHDイベントの発生率がbezafibrate群で低下したことから,脂質代謝異常の改善によりCHD発症が減少することが示唆される。