編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Solomon SD, St John Sutton M, Lamas GA, Plappert T, Rouleau JL, Skali H, Moye L, Braunwald E, Pfeffer MA, Survival And Ventricular Enlargement (SAVE) Investigators: Ventricular remodeling does not accompany the development of heart failure in diabetic patients after myocardial infarction. Circulation 2002; 106: 1251-1255. [PubMed]

糖尿病患者の心筋には,線維化やコラーゲン含量の増加など,いわゆる糖尿病心筋症と呼ばれる構造変化が起きており,心筋梗塞発症時に心不全に陥りやすいと考えられていた。ここでは,実際にそのようなことが起こっているかどうかを,左室拡張面積を心筋リモデリングの指標と定めて検討している。結果は予想のまったく逆であった。糖尿病患者の心不全成立には,いまだ解明されていない新たな機序が関与しているのかもしれない。【河盛隆造

●目的 糖尿病患者において,心筋梗塞(MI)発症後の左室拡張と心不全の関係を検討した。
●デザイン 無作為。
●試験期間 追跡期間は2年。
●対象患者 512例:SAVEの登録患者(MI発症後に左室機能不全[左室駆出率≦40%]を有する2231例)のうち,断層心エコー法を施行した例。糖尿病患者100例,非糖尿病患者412例。
●方法 断層心エコー法をベースライン時(MI発症から平均11.1日後),MI発症から3ヵ月後,1年後,2年後に実施。
●結果 追跡期間に糖尿病患者の30%,非糖尿病患者の17%が心不全を発症した(p<0.001)。ベースライン時の左室拡張期面積,左室駆出率,梗塞巣の長さは両患者で同等であった。
2年後までの左室拡張期面積は,非糖尿病患者で糖尿病患者に比して有意に大きかった(3.8±10.9 vs. 0.9±11.1cm²,p=0.047)。心不全発症例においても,左室拡張期面積(10.0±12.4 vs. 3.7±13.1cm²,p=0.06)および左室収縮期面積(4.6±11.8 vs. 0.91±12.1cm²,p=0.017)は非糖尿病患者で大きかった。
非糖尿病患者では,2年後までの左室拡張は心不全の有意な予測因子であった(p=0.001)。しかし糖尿病患者では,MI再発例を除外し,高血圧およびMIの既往,年齢,治療,喫煙歴を補正後も,有意な予測因子ではなかった。糖尿病は,心不全発症リスクおよび左室拡張の相関に有意な影響を及ぼしていた(p=0.011)。
●結論 糖尿病患者において,MI発症後の心不全の増加は,左室リモデリングの増大傾向によるものではないことが示された。