編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Labinaz M, Madan M, O'Shea JO, Kilaru R, Chin W, Pieper K, McGuire DK, Saucedo JF, Talley JD, Lui H, Kitt MM, Califf RM, Tcheng JT; ESPRIT Investigators: Comparison of one-year outcomes following coronary artery stenting in diabetic versus nondiabetic patients (from the Enhanced Suppression of the Platelet IIb/IIIa Receptor With Integrilin Therapy [ESPRIT] Trial). Am J Cardiol 2002; 90: 585-590. [PubMed]

以前よりeptifibatideはステント植込み後の虚血性合併症発症抑制に有効であることが示されている。ここでは,糖尿病合併群での非緊急例のステント術後を追跡している。その結果,eptifibatideは術後1年までの生命予後を非糖尿病群と同程度まで改善することが明らかになった。しかし,血行再建術施行数の抑制は認めなかった。改善の原因に関しては,さらなる検討が必要と思われる。【河盛隆造

●目的 非緊急冠動脈ステント植込み術を施行された糖尿病および非糖尿病患者において,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬eptifibatideの虚血性合併症に対する効果を比較検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検。
●試験期間 登録期間は1999年6月~2000年2月。追跡期間は1年。
●対象患者 2061例:ESPRITの登録患者(非緊急冠動脈ステント植込み術施行)。糖尿病例466例,非糖尿病例1595例。
除外基準:過去30日の抗血小板薬(ticlopidineまたはclopidogrel)投与。
●方法 全例にaspirinおよびticlopidineまたはclopidogrelを投与後,eptifibatide群(1039例)とプラセボ群(1022例)にランダム化。
・eptifibatide群:180μg/kgボーラスを10分間隔で2回投与後,2.0μg/kg/分で18~24時間静注。
・全例にheparin 60U/kgボーラス静注後,活性凝固時間が200~300秒となるよう調整投与。
●結果 1年後の複合エンドポイント(死亡,心筋梗塞[MI],緊急の標的血管血行再建術[TVR])の発生率は糖尿病例で非糖尿病例に比して有意に高かった(24.5 vs. 18.4%,p=0.008)。プラセボ群と比較したeptifibatide群の複合エンドポイント抑制効果は,糖尿病例(ハザード比[HR]0.71,95%CI 0.49-1.04)と非糖尿病例(HR 0.80,95%CI 0.63-0.99)で同等で,死亡またはMI抑制効果についても両例で同等であった。糖尿病例の1年後の死亡率は,eptifibatide群(1.3%)でプラセボ群(3.5%)に比して低く(HR 0.37,95%CI 0.10-1.41),非糖尿病例のeptifibatide群(1.4%)およびプラセボ群(1.5%)と同等であった。しかし,糖尿病例の1年後のTVR発生率はeptifibatide群(16.1%)とプラセボ群(18.1%)で同等で(HR 0.90,95%CI 0.57-1.41),非糖尿病例でも同様であった。
●結論 非緊急冠動脈ステント植込み術を施行された糖尿病および非糖尿病患者において,eptifibatide投与による虚血性合併症の抑制効果は同程度であり,eptifibatideの治療効果と糖尿病の有無には有意な相関はみられなかった。