編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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van Venrooij FV, van de Ree MA, Bots ML, Stolk RP, Huisman MV, Banga JD, DALI Study Group: Aggressive lipid lowering does not improve endothelial function in type 2 diabetes: the Diabetes Atorvastatin Lipid Intervention (DALI) Study: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Diabetes Care 2002; 25: 1211-1216. [PubMed]

心血管イベントの予知因子として,血流依存性血管拡張反応(FMD)がある。これは超音波を用いた非侵襲的なものであり,血管内皮機能を測定するものである。以前の非糖尿病患者を対象とした検討では,HMG-CoA還元酵素阻害薬投与によってFMDは改善した。
本研究では,2型糖尿病患者を対象とし,同様の検討を行った。糖尿病患者は,投与前よりすでにFMDが低下していた。この低下は,HMG-CoA還元酵素阻害薬の投与にもかかわらず,改善はしなかった。その一因として,対象患者の糖尿病罹患歴が10年を超えていることが挙げられる。すなわち,長期の糖尿病状態により,血管内皮に起こった変化がすでに非可逆的になっていると考えられる。今後,より早期(たとえばIGTの時期など)での血管内皮機能を検討し,どの時点で介入を行うのが動脈硬化抑制に効果的であるのかを明らかにする必要がある。【河盛隆造

●目的 脂質代謝異常を認める2型糖尿病患者において,HMG-CoA還元酵素阻害薬atorvastatin 10mg/日および80mg/日投与による脂質低下療法の内皮機能に対する有効性を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設(オランダ),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は30週。
●対象患者 133例:DALIの対象患者(心血管疾患の既往を有さない2型糖尿病患者)のうち,2施設に登録され,ベースライン時に内皮機能に関する正確なデータが得られた例。
登録基準:45~75歳。HbA1c値≦10%。総コレステロール(TC)155~310mg/dL。空腹時トリグリセリド(TG)133~531mg/dL。
●方法 患者を,atorvastatin 10mg/日(A10)群(46例),80mg/日(A80)群(43例),プラセボ群(44例)にランダム化し,30週投与。
ベースライン時および30週後に上腕動脈のBモード超音波検査を実施し,内皮機能を評価。
●結果 本試験の対象患者では,ベースライン時において内皮依存性および非依存性の血管拡張機能に障害を認め,血流依存性血管拡張反応(FMD)は平均3.16%(SD3.56),nitroglycerin舌下錠の奏効率は平均6.58%(SD6.04)であった。
脂質低下療法により,アテローム脂質パラメータ(LDL-CおよびTG)が低下したにもかかわらず,内皮依存性血管拡張機能は改善せず(FMD:10mg群3.20%,80mg群3.10%,プラセボ群3.41%:p>0.8[vs. プラセボ群]),内皮非依存性血管拡張機能も同様であった。
●結論 糖尿病性脂質代謝異常を認める糖尿病患者では,ベースライン時に内皮依存性または非依存性の血管拡張機能障害がみられた。atorvastatinによる脂質低下療法は脂質プロファイルを改善したが,内皮機能の改善は得られなかった。