編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Katakura M, Naka M, Kondo T, Nishii N, Komatsu M, Sato Y, Yamauchi K, Hiramatsu K, Ikeda M, Aizawa T, et al.: Prospective analysis of mortality, morbidity, and risk factors in elderly diabetic subjects: Nagano study. Diabetes Care 2003; 26: 638-644. [PubMed]

390例ではあるが,わが国の高齢2型糖尿病患者の死亡率および合併症発症率を検討した貴重な検討である。死因としては,癌(35%),脳卒中(26%),心筋梗塞(12%)であり,脳卒中の頻度が依然と高い。血圧に関してUカーブが認められたことも興味深いが,さらに症例数を増やした検討が待たれる。【片山茂裕

●目的 厳格にコントロールされている高齢2型糖尿病患者において,死亡率および合併症発症率を明らかにするとともに,それらの予測因子を検討した。
エンドポイントは死亡および糖尿病関連イベント(視力障害,血液透析を要する末期腎不全,致死性および非致死性心筋梗塞,狭心症,致死性および非致死性脳卒中,四肢および指の切断,突然死)。
●デザイン 前向き,コホート,縦断研究。
●試験期間 追跡期間は3年。登録期間は1998年4~8月。試験期間は1998年9月1日~2001年8月31日。
●対象患者 390例:1年以上通院している日本人2型糖尿病患者(男性173例,女性217例)。≧65歳(平均73歳)。平均HbA1c値6.8%(経口血糖降下薬および/またはインスリン投与例332例)。平均血圧136/74mmHg(降圧薬投与例219例)。
除外基準:血液透析の実施。治療されていない悪性疾患。
●方法 HbA1c値<7.0%および血圧<145/80mmHg(<69歳では<140/70mmHg)を治療目標とした。死亡率,死因,糖尿病関連イベントの発生を追跡し,そのリスク因子を特定した。
●結果 追跡期間中に34例が死亡した。悪性疾患を除くと,主要な死因は脳卒中であった。年間死亡率は2.9%で,これは年齢および性別を対応した一般集団と同等であった。また,糖尿病関連イベントを発生したのは42例(致死性16例,非致死性26例)であった。
単変量Cox比例ハザードモデルを用いた解析では,高度に有意(p<0.0001)かつ強力(相対リスク>3.0)なリスク因子は,死亡および糖尿病関連イベントのいずれについても,血清クレアチニン高値および脳卒中の既往のみであった。
脳卒中の既往がなく,降圧薬を投与されている患者をSBPに基づいて4群に分類し(≦125mmHg,126~136mmHg,137~147mmHg,≧148mmHg),糖尿病関連イベント発生率を検討したところ,その分布はU字型で,最も発生率が低いのは第3低値群(137~147mmHg)で,最も発生率が高いのは第1低値群(≦125mmHg)であった。
●結論 コントロール良好の高齢2型糖尿病患者では,年齢および性別を対応した一般集団と比較して死亡率の上昇はみられなかった。腎機能障害と脳卒中の既往は,死亡および合併症の独立したリスク因子であった。脳卒中の既往のない患者では,過度の降圧により合併症発生リスクが上昇することが示唆された。