編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Jones H, Edwards L, Vallis TM, Ruggiero L, Rossi SR, Rossi JS, Greene G, Prochaska JO, Zinman B, Diabetes Stages of Change (DiSC) Study: Changes in diabetes self-care behaviors make a difference in glycemic control: the Diabetes Stages of Change (DiSC) study. Diabetes Care 2003; 26: 732-737. [PubMed]

わが国における平成14年度の厚生労働省糖尿病実態調査では,糖尿病が強く疑われる人のうち,実際に糖尿病の治療を受けているのは約50%と推測されている。諸外国でも同様の問題はあり,より多くの埋もれている患者に介入することが可能な,簡便かつ有効な手段が求められてきた。
本試験では,患者個々の行動ステージに合わせて定期的に電話カウンセリングをする(対面診療が必須ではない)至適セルフケア誘導プログラムの有効性が12ヵ月間で検証されている。【河盛隆造

●目的 糖尿病患者において,通常の治療(TAU)と至適セルフケア誘導プログラム(PTC)のいずれが,より積極的な生活習慣の改善(行動期への進展)を促すことができるかを検討した。
●デザイン 無作為,分割法。
●試験期間 試験期間は12ヵ月。
●対象患者 1029例:至適セルフケアを行っていない1型または2型糖尿病患者。
登録基準:自己血糖測定(SMBG)の実施回数が<4回/日(インスリン投与例)または<2回/日(経口血糖降下薬単独投与例),および/またはBMI>27kg/m²,および/または喫煙習慣あり。
除外基準:食事療法のみの実施。英語の読解能力がない。妊娠または透析などにより通常以上の治療を要する。電話を持っていない。
●方法 患者を糖尿病治療(インスリンまたは経口血糖降下薬単独)により層別化後,PTCまたはTAUにランダム化し,さらにSMBG実施時の無料テストストリップの有無にランダム化。
・PTC:3ヵ月ごとに評価する個々の患者の生活習慣改善状態に基づいて,セルフケアに関する評価レポート,自助マニュアル,広報誌を送付し,SMBG実施の推進,食事指導および/または禁煙指導を目的とした個別電話カウンセリングを実施。
・SMBG,食生活,喫煙の指導を受けた例に関して,12ヵ月後に行動期への進展がみられた患者の割合を各群で比較。行動期への進展は,SMBGは「実施回数≧4回/日(インスリン投与例)または≧2回/日(経口血糖降下薬単独投与例)」,食生活は「脂肪によるカロリー摂取率<30%」,喫煙は「禁煙」で評価した。
●結果 SMBG指導を受けて行動期への進展がみられた患者は,PTC+テストストリップ群43.4%,PTC単独群30.5%,TAU+テストストリップ群27.0%,TAU単独群18.4%であった(p<0.001)。食生活指導を受けて行動期への進展がみられた患者は,PTC群でTAU群に比して有意に多く(32.5 vs. 25.8%;p<0.001),喫煙についても同様であった(24.3 vs. 13.4%;p<0.03)。
SMBG指導を受けた患者についてintention-to-treat解析を行ったところ,PTC群ではTAU群に比してHbA1c値の低下が大きかったが,有意差には至らなかった。しかしSMBGおよび食生活指導を受けて行動期へ進展した患者では,HbA1c値が有意に低下した(p<0.001)。食生活指導を受けた患者については,PTC群でTAC群に比して脂肪によるカロリー摂取率が有意に低下し(35.2 vs. 36.1%;p=0.004),1日あたりの果物摂取量(1.89 vs. 1.68;p=0.016)および野菜摂取量(2.24 vs. 2.06;p=0.011)が有意に増加したが,体重は減少しなかった。しかし,食生活指導を受けた患者のうちSMBGが行動期へ進展した例では,非進展例に比して体重減少が有意に大きかった(1.78 vs. 0.26kg;p≦0.01)。
●結論 至適セルフケアの誘導プログラムによる介入は,積極的に生活習慣を改善している一部の症例のみでなく,多くの糖尿病患者に好影響を及ぼす可能性があることが示唆された。