編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Robins SJ, Rubins HB, Faas FH, Schaefer EJ, Elam MB, Anderson JW, Collins D: Insulin resistance and cardiovascular events with low HDL cholesterol: the Veterans Affairs HDL Intervention Trial (VA-HIT). Diabetes Care 2003; 26: 1513-1517. [PubMed]

心血管イベントの発生リスクに対して,HDL-C低値およびTG高値に比べてHOMA-IRで求めたインスリン抵抗性がより重要であるという結論である。インスリン抵抗性のある糖尿病群では平均空腹時血糖値が160mg/dLとかなり高いことから,HOMA-IRのみでインスリン抵抗性を論ずるのに若干の難を感じる。これまで強力なリスク因子と考えられてきた低HDL-C血症に比べてインスリン抵抗性がさらに強力なリスクと結論づけるには,もう一歩踏み込んだインスリン抵抗性の評価が必要であろう。【河盛隆造

●目的 HDL-C低値の冠動脈心疾患(CHD)患者において,心血管イベントに対するインスリン抵抗性の影響およびgemfibrozil(フィブラート)の有効性を検討した。
エンドポイントは心血管イベント(非致死性心筋梗塞[MI],CHD死,脳卒中)。
●デザイン プラセボ対照,多施設, intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は5年。
●対象患者 2283例:VA-HIT登録患者(HDL-CおよびLDL-C低値のCHD男性患者)。
●方法 患者を,糖尿病およびインスリン抵抗性(インスリン抵抗性あり:ホメオスタシスモデル評価によるインスリン抵抗性指数[HOMA-IR]が上位1/3の症例)の有無により,インスリン抵抗性のある糖尿病患者(399例),インスリン抵抗性のない糖尿病患者(151例),インスリン抵抗性のある非糖尿病患者(363例),その他(1370例)に分類。
Cox比例ハザードモデルを用いて,心血管イベントの5年発生率およびgemfibrozil投与の効果を,インスリン抵抗性の有無により比較し,HDL-C値およびトリグリセリド(TG)値とともに検討した。
●結果 インスリン抵抗性のある症例ではない症例に比して,糖尿病患者(相対リスク[RR]1.62,95%CI 1.28-2.06)および非糖尿病患者(RR 1.43,95%CI 1.03-1.98)のいずれにおいても,心血管イベントの発生リスクが有意に高かった。gemfibrozil投与によるHDL-C値上昇およびTG値低下は,インスリン抵抗性のある症例で有意に小さかった。しかし,HDL-C値およびTG値にかかわらず,心血管イベントの発生率およびgemfibrozil投与による心血管イベント減少は,インスリン抵抗性のある症例で高かった。
●結論 心血管イベントの発生およびフィブラートによる有効性は,HDL-C値およびTG値よりも,インスリン抵抗性の有無に深く関係していることが示された。