編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Havranek EP, Esler A, Estacio RO, Mehler PS, Schrier RW, Appropriate Blood Pressure Control in Diabetes Trial: Differential effects of antihypertensive agents on electrocardiographic voltage: results from the Appropriate Blood Pressure Control in Diabetes (ABCD) trial. Am Heart J 2003; 145: 993-998. [PubMed]

すでに報告されたABCD試験で,心電図上の心肥大を加えた再解析である。心血管イベントの最も強力な予測因子はCa拮抗薬の使用であるとの結論は変わらないものの,心肥大も独立した予測因子であった。糖尿病患者においても,心肥大のチェックが重要なことを再確認させる結果である。【片山茂裕

●目的 高血圧を伴う2型糖尿病患者において,ACE阻害薬enalaprilまたはCa拮抗薬nisoldipineが左室肥大の心電図所見および心血管イベントに及ぼす影響を比較検討した。
一次エンドポイントは24時間クレアチニンクリアランスの変化。二次エンドポイントは心血管イベント(心筋梗塞[MI],脳血管事故,心血管死)。
●デザイン 無作為,二重盲検。
●試験期間 追跡期間は5年。
●対象患者 468例:ABCD試験に登録した2型糖尿病患者のうち,高血圧(DBP≧90mmHg)を認め,かつ心電図検査が評価可能であった例。40~74歳。
除外基準:ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬またはACE阻害薬に対するアレルギーを有する者,あるいはこれら薬剤に絶対的な適応のある者。過去6ヵ月のMI,不安定狭心症,脳卒中。過去3ヵ月のCABG。NYHA 3~4度の心不全。腎不全(血清クレアチニン値>3mg/dLまたは要透析)。
●方法 患者を強化コントロール群(目標DBP 75mmHg)と穏健コントロール群(目標DBP 80~89mmHg)にランダム化し,さらにenalapril(10~60mg/日)群(235例)とnisoldipine(5~40mg/日)群(233例)にランダム化。目標血圧を達成できない場合は,β遮断薬atenololまたは利尿薬hydrochlorothiazideを併用。
ベースライン時およびその後1年ごとに心電図検査を実施し,年齢,性別,BMIを補正したCornell voltageから左室肥大を評価。Cox比例ハザード解析にて,Cornell voltageの変化と心血管イベントの関係を検討した。
●結果 Cornell voltageの低下度は,enalapril群でnisoldipine群に比して有意に大きかった(repeated measures analysis of variance p=0.002)。
心血管イベントを発生したのは62例であった。Cox比例ハザード解析では,心血管イベントの最も強力な予測因子はnisoldipine治療であり,そのほかベースライン時の冠動脈疾患,糖尿病の罹病期間,Cornell voltageの変化も心血管イベントの独立した予測因子であった。
●結論 ABCD試験では,enalapril投与によりMIリスクが低下した。このenalaprilの効果の一部は,心電図のvoltageの低下に反映される左室肥大の減少によるものと考えられる。