編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Mann JF, Gerstein HC, Yi QL, Lonn EM, Hoogwerf BJ, Rashkow A, Yusuf S: Development of renal disease in people at high cardiovascular risk: results of the HOPE randomized study. J Am Soc Nephrol 2003; 14: 641-647. [PubMed]

心血管リスクを有する例では,糖尿病の有無にかかわらず,アルブミン尿が進展するリスクが高いことが明らかになった。特に糖尿病患者では,4.5年間にアルブミン尿の進展は3人に1人(非糖尿病患者では7人に1人),正常から微量アルブミン尿への進展は3人に1人,微量アルブミン尿から臨床的蛋白尿への進展は5人に1人と高率であることに留意すべきである。【片山茂裕

●目的 心血管疾患のリスクを有する糖尿病および非糖尿病患者において,微量アルブミン尿が臨床的蛋白尿の予測因子であるか否かを検討し,ACE阻害薬ramiprilの腎障害に対する有効性を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,2×2 factorial,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は4.5年(中央値)。
●対象患者 7674例:HOPE登録患者のうち,尿中アルブミン・クレアチニン比(ACR)のデータが得られた例。≧55歳。糖尿病患者3223例,非糖尿病患者4451例。
登録基準:血管疾患。糖尿病に1つ以上の心血管リスク因子(高血圧,脂質代謝異常,喫煙,微量アルブミン尿)を有する。
除外基準:心不全。コントロール不良の高血圧。ACE阻害薬またはビタミンEに対する不耐症。左室機能障害。dipstick-positive蛋白尿(>1+)。血清クレアチニン値>2.3mg/dL。
●方法 run-in期間(ramipril 2.5mg/日を7~10日投与)後,患者をramipril群,ビタミンE群,プラセボ群にランダム化。
ACRから微量アルブミン尿および臨床的蛋白尿の有無を評価。微量アルブミン尿と臨床的蛋白尿の関係,アルブミン尿の進展(微量アルブミン尿または臨床的蛋白尿の新規発現)のリスク因子,これらに対するramiprilの有効性について,糖尿病の有無別に検討した。
・微量アルブミン尿の定義はACR≧2mg/mmol(17.4mg/g)。
・臨床的蛋白尿の定義は,尿中アルブミン排泄≧300mg/日,または尿中蛋白≧500mg/日,または24時間尿が不可能な場合にはACR>36mg/mmol(313mg/g)。
●結果 ベースライン時の微量アルブミン尿は,糖尿病の有無にかかわらず,その後の臨床的蛋白尿の予測因子であった(全症例:補正オッズ比[OR]17.5,95%CI 12.6-24.4,非糖尿病患者:OR 16.7,95%CI 8.6-32.4,糖尿病患者:OR 18.2,95%CI 12.4-26.7)。
追跡期間中に1859例(24%)でアルブミン尿の進展を認めた(微量アルブミン尿の新規発現1542例,臨床的蛋白尿の新規発現317例)。アルブミン尿の進展との間に最も強い相関を認めたのは糖尿病で(OR 2.45,95%CI 2.18-2.75,p<0.05),他に喫煙,高血圧,男性,末梢血管疾患などの心血管リスク因子も独立した有意な相関を有していた。
ramiprilはアルブミン尿の進展リスクを有意に低下させた(OR 0.87,95%CI 0.78-0.97,p=0.0146)。
●結論 糖尿病の有無にかかわらず,心血管疾患のリスクを有する症例はアルブミン尿の進展リスクを有し,微量アルブミン尿が臨床的蛋白尿の予測因子となっていた。ramiprilはアルブミン尿の進展を予防または遅延させた。