編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Writing Team For The Diabetes Control And Complications Trial/Epidemiology Of Diabetes Interventions And Complications Research Group: Sustained effect of intensive treatment of type 1 diabetes mellitus on development and progression of diabetic nephropathy: the Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications (EDIC) study. JAMA 2003; 290: 2159-2167. [PubMed]

6.5年のDCCT試験時の強化療法による血糖コントロールの影響が,その後の7~8年にわたるEDIC試験終了時にも認められた。試験期間中のHbA1c値の10%の低下は,微量アルブミン尿・臨床的アルブミン尿のリスクをそれぞれ50.2%,56.4%減少させた。「metabolic memory」ともいえるこのような現象の存在は,糖尿病発症早期にできるだけ血糖を正常化し,高血糖に暴露される期間・程度を少なくすることの重要性を再確認するものである。なお,強化療法による強力な血糖コントロールが高血圧の発症を抑制することも重要な知見である。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,腎機能に対する強化療法と従来療法の長期効果を比較した。
主要アウトカムは微量アルブミン尿(アルブミン排泄率[AER]≧40mg/24時間),臨床的アルブミン尿(AER>300mg/24時間),高血圧(>140/90mmHgまたは降圧薬治療),血清クレアチニン値の上昇(2倍または>2.0mg/dL),透析および/または腎移植。
●デザイン 多施設(米国,カナダ),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は8年(1993年~)。
●対象患者 1375例:DCCT試験の対象患者(13~39歳,罹患期間1~15年の1型糖尿病患者)。強化療法群687例,従来療法群688例。
登録基準:重度の大血管障害または細小血管障害を認めない。糸球体濾過速度(GFR)正常(血清クレアチニン値≦1.2mg/dLおよび/またはクレアチニンクリアランス≧100mL/分/1.73m²)。正常血圧(≦140/90mmHg)。重度の神経障害を有さない。LDL-C値<190mg/dL。
●方法 DCCT試験終了から1年ごとに血圧およびHbA1c値,2年ごとにアルブミン尿およびクレアチニンクリアランスを評価。腎関連アウトカムの発生を追跡。
●結果 7~8年後に腎機能の評価が行われた1337例および7年後までに死亡した12例の計1349例(強化療法群676例,従来療法群673例)を解析対象とした。
DCCT試験開始時および終了時にAERが正常であった症例(強化療法群572例,従来療法群550例)のうち,EDIC試験中に微量アルブミン尿を発現したのはそれぞれ39例(6.8%),87例(15.8%)で,微量アルブミン尿の発現リスクは強化療法群で59%(95%CI[以下同]39~73%)低かった(p<0.001)。DCCT試験終了時の同リスクは,強化療法群で59%(36~74%)低かった(p<0.001)。
また,DCCT試験終了時に臨床的アルブミン尿を認めなかった症例(強化療法群632例,従来療法群630例)のうち,EDIC試験中に臨床的アルブミン尿を発現したのはそれぞれ9例(1.4%),59例(9.4%)で,臨床的アルブミン尿の発現リスクも強化療法群で84%(67~92%)低かった(p<0.001)。DCCT試験終了時の同リスクは,強化療法群で57%(-1~81%)低かった(p=0.05)。
EDIC試験中,強化療法群では,高血圧(29.9 vs. 40.3%,p<0.001)および血清クレアチニン値>2mg/dL(5例[0.7%] vs. 19例[2.8%],p=0.004)の発現も有意に少なかったが,平均対数クリアランスに関しては両群間に有意差を認めなかった。透析および/または腎移植を要した症例も強化療法群でより少なかった(4例[0.6%] vs. 7例[1.0%],p=0.36)。
●結論 DCCT試験終了後7~8年時点において,アルブミン排泄および血圧に対する強化療法の効果は持続していたことから,糖尿病腎症の進展抑制効果も維持されていることが示唆された。