編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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HOE 901/2004 Study Investigators Group: Safety and efficacy of insulin glargine (HOE 901) versus NPH insulin in combination with oral treatment in Type 2 diabetic patients. Diabet Med 2003; 20: 545-551. [PubMed]

2003年末に日本でも発売となった持効型溶解インスリンglargineは,ピークのない基礎インスリン分泌を補うのにきわめて有効なインスリンであるが,本研究では2型糖尿病のSU薬治療への上乗せ効果をNPHインスリンと比較している。いずれの製剤による治療も(インスリンglargineは2種類の亜鉛濃度の製剤を使用),HbA1c値の改善度は1%減少にいたらず,これら2剤の有意性を問うにはインパクトの低いものとなっている。低血糖がインスリンglargine群で少ないことが,唯一納得できるデータであろうか。いずれにしても,どのようなSU薬無効例にインスリンglargineが良い適応であるかを,まずはっきりさせる必要がある。【河盛隆造

●目的 経口血糖降下薬投与下の2型糖尿病患者において,2種類のインスリンglargineとNPHインスリンの有効性および安全性を比較した。
有効性の一次アウトカムは空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値。
●デザイン 無作為,オープン(インスリンglargine vs NPHインスリン),二重盲検(亜鉛含有量30μg/mL vs 80μg/mLのインスリンglargine),パラレル,多施設(欧州,南アフリカ),intention-to-treat解析。
●試験期間 試験期間は4週。
●対象患者 256例:経口血糖降下薬投与下(スルホニル尿素単独投与あるいはmetforminまたはacarboseとの併用を3ヵ月以上)でコントロール不良の2型糖尿病患者。40~80歳(平均59.4歳)。
登録基準:HbA1c値≧7.0%,BMI 21~35kg/m²,インスリン投与歴なし。
●方法 患者を,亜鉛含有量30μg/mLのインスリンglargine(インスリンglargine[30])群,亜鉛含有量80μg/mLのインスリンglargine(インスリンglargine[80])群,NPHインスリン皮下注(1回/日)群にランダム化し,4週投与(用量調整期間3週+維持期間1週)。
用量調整期間に,空腹時血糖値(FBG)値が72~126mg/dLとなるようインスリン用量を調整。試験期間を通じて経口血糖降下薬の投与を継続。
FPG値,FBG値,平均FBG値(7測定値の平均),FBG値の安定性(FBG値とFBG中央値の差),血糖プロファイル(食前,朝食・昼食・夕食後2時間,就寝時の測定値の平均),夜間血糖値,空腹時血清インスリン値,空腹時血清Cペプチド値,HbA1c値,フルクトサミン値,非エステル化脂肪酸,低血糖を評価。
●結果 実際にランダム化され,治療を実施された204例(インスリンglargine[30]群64例,インスリンglargine[80]群72例,NPHインスリン群68例)を解析対象とした。
補正後の平均FPG値は,両インスリンglargine群間およびインスリンglargine群とNPHインスリン群間に有意差はみられなかったが,3群ともベースライン時に比して有意な低下を示した(各群の低下度はそれぞれ61.2mg/dL,63.0mg/dL,55.8mg/dL,いずれもp<0.0001)。FBG値,平均FBG値,血糖プロファイル,FBG値の安定性,夜間血糖値,空腹時血清Cペプチド値,非エステル化脂肪酸,HbA1c値,フルクトサミン値,空腹時血清インスリン値に関しても同様に,群間差は認めなかったが,各群内で有意な変化を示した。NPHインスリン群ではインスリンglargine群に比して,症候性夜間低血糖の発現が有意に多かった(19.1 vs 7.3%,p=0.0123)。重度の低血糖はみられず,また治療関連の有害事象も軽度で,いずれのインスリンも忍容性は良好であった。各群1例に注射部位反応がみられた。
●結論 インスリンglargineはNPHインスリン皮下注(1回/日)と同程度に安全かつ有効であり,また本試験では夜間低血糖の発現がより少なかった。