編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年2月現在,1152報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Riddle MC, Rosenstock J, Gerich J, Insulin Glargine 4002 Study Investigators: The treat-to-target trial: randomized addition of glargine or human NPH insulin to oral therapy of type 2 diabetic patients. Diabetes Care 2003; 26: 3080-3086. [PubMed]

経口薬を投与中で血糖管理が不良,かつ過体重の糖尿病患者といえば,日常臨床で頻繁に遭遇する患者層であろう。これに1日1回のインスリン注射を追加することで,血糖管理が改善し,さらに低血糖を起こしにくいのであれば,現実的にはきわめて有用な報告といえよう。しかし,過体重であれば食事療法も十分に実行されていないと解することができるので,実際に応用する際には,基本である食事療法の指導なども強化し,さらなる体重増加を招かないように注意する必要があろう。【河盛隆造

●目的 経口血糖降下薬投与下の2型糖尿病患者において,インスリンglargineまたはヒトNPH インスリンを追加併用した場合の血糖低下効果および低血糖リスクを比較した。
一次アウトカムは,空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値,HbA1c値,低血糖,症候性夜間低血糖(≦72mg/dL)を伴わないHbA1c値≦7%の達成率。
●デザイン 無作為,オープン,パラレル,多施設(米国,カナダ),intention-to-treat解析。
●試験期間 試験期間は24週(2000年1月~2001年10月)。
●対象患者 756例:1~2種の一定用量の経口血糖降下薬(スルホニル尿素薬,metformin,pioglitazone,rosiglitazone)を3ヵ月以上投与下で血糖コントロール不良かつ過体重の2型糖尿病患者。
登録基準:30~70歳。糖尿病罹病期間≧2年。BMI 26~40kg/m²。HbA1c値7.5~10%。FPG値≧140mg/dL。
除外基準:インスリン投与歴(妊娠糖尿病および投与期間<1週の場合を除く)。αグルコシダーゼ阻害薬または即効型インスリン分泌促進薬の投与中。血糖コントロールに影響を及ぼす他の薬剤の投与。ケトアシドーシスまたは認識不可能な低血糖(自己報告)の既往。血清アラニンアミノトランスフェラーゼ値またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値が正常上限値または血清クレアチニン値の2倍以上に上昇。薬物またはアルコール依存症の既往またはインフォームド・コンセント不可能。抗GAD抗体陽性。空腹時血漿Cペプチド値≦0.25pmol/mL。
●方法 患者を,インスリンglargine群(367例)とNPHインスリン群(389例)にランダム化。
・両群とも投与は就寝時で,10IU/日より開始し,FPG値≦100mg/dLとなるよう1週ごとに用量調整。経口血糖降下薬は継続して投与。
●結果 エンドポイント時の平均FPG値(glargine群117mg/dL,NPH群120mg/dL)およびHbA1c値(それぞれ6.96%,6.97%)は,両群で同等であった。両群とも患者の多く(それぞれ58.0%,57.3%)がHbA1c値≦7%を達成したが,夜間低血糖を伴わない達成率は,glargine群で約25%高かった(33.2 vs. 26.7%,p<0.05)。さらに,その他の症候性低血糖イベント率もglargine群で21~48%低かった。
●結論 経口血糖降下薬投与下でHbA1c値7.5~10%かつ過体重の2型糖尿病患者において,あらかじめ決められた用量調整法で就寝時基礎インスリンを追加併用することにより,多くの患者でHbA1c値≦7%を達成でき,安全性も良好であった。インスリンglargineはNPHインスリンに比して夜間低血糖の発現が有意に少なく,インスリン投与を開始する際に問題となる低血糖への不安を軽減できる。本レジメンは簡便であり,より早期に有効なインスリン投与を容易にし,推奨されている糖尿病の治療目標への達成率を改善すると考えられる。