編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sacco M, Pellegrini F, Roncaglioni MC, Avanzini F, Tognoni G, Nicolucci A, PPP Collaborative Group: Primary prevention of cardiovascular events with low-dose aspirin and vitamin E in type 2 diabetic patients: results of the Primary Prevention Project (PPP) trial. Diabetes Care 2003; 26: 3264-3272. [PubMed]

Antithrombotic Trialists' Collaborationによるメタアナリシスでも,糖尿病患者ではaspirinによる心血管疾患のリスク低下は7%と報告されている(BMJ 2002; 324: 71-86.)。今回の試験も,先の結論を裏付けるものである。非糖尿病患者でみられるaspirinの心血管疾患予防効果が糖尿病患者でみられないことについて,結論の項にいくつかの可能性が挙げられているが,さらなる大規模試験が必要といえる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,心血管疾患の一次予防における低用量aspirinおよびビタミンEの有効性を検討し,その有効性を非糖尿病患者と比較した。
一次エンドポイントは心血管死,脳卒中,心筋梗塞の複合エンドポイント。
●デザイン 無作為,オープン,多施設,2×2 factorial,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は1994~1998年。追跡期間は3.7年(中央値)。
●対象患者 4784例:心血管疾患の既往がなく,心血管リスク因子を1つ以上有する例。≧50歳。糖尿病患者1031例,非糖尿病患者3753例。
除外基準:重篤な疾患,抗血小板薬の投与歴(血管イベントまたは血管疾患の既往),抗炎症薬または抗凝固薬の長期投与,aspirinまたはビタミンEの長期投与,aspirin禁忌,予後不良が予測される疾患,コンプライアンスへの影響が予測される精神障害。
●方法 患者を,aspirin(100mg/日)投与群(糖尿病患者519例)と非投与群(糖尿病患者512例)にランダム化し,さらにビタミンE(300mg/日)投与群(糖尿病患者509例)と非投与群(糖尿病患者522例)にランダム化した。
●結果 PPPはaspirinの有効性が明らかとなったため早期終了した。
糖尿病患者では,aspirin投与により一次エンドポイント(相対リスク[RR]0.90,95%CI 0.50-1.62)および全心血管イベント(RR 0.89,95%CI 0.62-1.26)が減少したものの有意差には至らず,また心血管死(RR 1.23,95%CI 0.69-2.19)は有意差はないものの増加した。これに対し非糖尿病患者では,一次エンドポイント(RR 0.59,95%CI 0.37-0.94),全心血管イベント(RR 0.69,95%CI 0.53-0.90),心血管死(RR 0.32,95%CI 0.14-0.72)と,いずれも有意に減少した。ビタミンE投与については,糖尿病患者および非糖尿病患者のいずれにおいても,イベントの有意な減少は認めなかった。
●結論 糖尿病患者では,他の心血管リスク因子を有する患者の場合と異なり,低用量aspirinによる心血管疾患の一次予防効果は小さかった。このことから糖尿病患者では,aspirinの抗血小板効果が,aspirinに影響されない血小板活性化および血栓形成のメカニズムによって打ち消されており,そのためにaspirinによる有効性と有害性のバランスが悪くなっていることが示唆される。糖尿病患者の心血管疾患の一次予防におけるaspirinの役割については,さらなる大規模試験の実施が早急に必要である。