編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Athyros VG, Papageorgiou AA, Symeonidis AN, Didangelos TP, Pehlivanidis AN, Bouloukos VI, Mikhailidis DP, GREACE Study Collaborative Group: Early benefit from structured care with atorvastatin in patients with coronary heart disease and diabetes mellitus. Angiology 2003; 54: 679-690. [PubMed]

対照群の脂質低下薬の服薬率は低いので,プラセボ対照の試験に近い状況と思われる。心血管イベントの頻度と種類については民族差が大きいので,この成績をただちに日本人に適用することはできない。最近終了したわが国で行われたMega Studyの結果との比較が待たれる。【景山 茂

●目的 糖尿病を有する冠動脈心疾患(CHD)患者において,HMG-CoA還元酵素阻害薬atorvastatinを用いた脂質代謝異常に対する構造化ケアの有効性を,通常ケアと比較した。
一次エンドポイントは全死亡,冠動脈死,冠動脈疾患(非致死性心筋梗塞[MI],血行再建術,不安定狭心症,心不全),脳卒中。
●デザイン 前向き,無作為,オープン,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2年。追跡期間は平均3年。
●対象患者 313例:GREACEの参加者(CHD患者1600例)のうち,糖尿病を有する例。
登録基準:MIの既往または冠動脈1枝以上の狭窄度>70%。<75歳。LDL-C値>100mg/dL。トリグリセリド値<400mg/dL。
除外基準:腎機能障害。肝機能障害。脂質低下療法の施行歴。妊娠の可能性。冠動脈再建術の予定。余命が試験期間以内と予想される重篤な疾患(癌,心不全など)。
●方法 患者を,構造化ケア群(161例)と通常ケア群(152例)にランダム化し,一次エンドポイントの発生を追跡。
・構造化ケア群:atorvastatin 10mg/日より投与開始し,6週以内に米国コレステロール教育プログラム(NCEP)のLDL-C目標値(<100mg/dL)を達成できない場合,20mg/日まで増量。以後6週ごとの評価でLDL-C目標値が達成できない場合,80mg/日まで漸増。
・通常ケア群:担当医の標準治療を実施。生活習慣改善の指導に加え,脂質低下薬(atorvastatinを含む)および必要に応じて他の薬剤を投与。
●結果 構造化ケア群では,156例(97%)が試験期間を通じてatorvastatinを服用し(平均23.7mg/日),150例(93%)がLDL-C目標値を達成した。一方,通常ケア群では,脂質低下薬を1年以上投与されていたのは26例(17%)のみで,LDL-C目標値を達成したのは6例(4%)であった。
試験期間中の重篤な血管イベント発生または死亡は,通常ケア群で46例(30.3%)であったのに対し,構造化ケア群では20例(12.5%)のみであった(相対的リスク減少[RRR]58%,p<0.0001)。構造化ケアによる各エンドポイントのRRRは,全死亡52%(p=0.049),冠動脈死62%(p=0.042),冠動脈疾患59%(p<0.002),脳卒中68%(p=0.046)で,いずれも両群間に有意差を認めた。両群の一次エンドポイント発生率は,6ヵ月後には差が認められ,12ヵ月後にはRRRが約60%となり,これは試験終了時まで維持されていた。また,試験終了時には両群の一次エンドポイント発生率に有意差を認めた。構造化ケアによる1年の余命延長に要する費用は6200ドルと推定された。
●結論 糖尿病を有するCHD患者において,NCEPのLDL-C目標値達成を目指したatorvastatinによる脂質代謝異常の構造化ケアにより,3年後までの全死亡,冠動脈死,冠動脈疾患,脳卒中の発生が,通常ケアに比して1/2以下に減少した。構造化ケアの臨床効果は6ヵ月後からすでに認められた。