編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Torgerson JS, Hauptman J, Boldrin MN, Sjostrom L: XENical in the prevention of diabetes in obese subjects (XENDOS) study: a randomized study of orlistat as an adjunct to lifestyle changes for the prevention of type 2 diabetes in obese patients. Diabetes Care 2004; 27: 155-161. [PubMed]

肥満治療薬orlistatの肥満改善および予防効果,糖尿病発症予防効果,メタボリックシンドロームのさまざまなマーカーに対する影響を検討した試験である。いずれのデータも,orlistatにより明らかな予防・改善効果が認められており,脂肪吸収阻害の有用性が示された重要な結果といえる。とくに,肥満改善のみならず血圧ならびに血清インスリンやPAI-1の低下が著明に認められる点は特筆され,orlistatがメタボリックシンドロームそのものの治療薬としての評価が与えられるにふさわしいデータである。【河盛隆造

●目的 肥満者において,生活習慣改善に減量薬を併用することにより,減量および2型糖尿病の発症予防に関してさらなる効果が得られるかを検討した。
一次エンドポイントは2型糖尿病発症および体重の変化。
●デザイン 前向き,無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(スウェーデン),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は1997年8~12月。試験期間は4年(1997年8月~2002年2月)。
●対象患者 3305例:非糖尿病の肥満者。BMI≧30kg/m²。30~60歳。正常耐糖能(NGT)例79%,耐糖能異常(IGT)例21%。
除外基準:糖尿病,心血管疾患,消化器疾患。
●方法 患者を,消化管リパーゼ阻害薬orlistat(360mg/日[分3])群(1650例),プラセボ群(1655例)にランダム化。
・全例に生活習慣改善を指導:低カロリー食(脂肪によるカロリー摂取30%およびコレステロール摂取≦300mg/日により,~800kcal/日の削減)および食事に関するカウンセリングを実施するとともに,歩行距離の増加を推奨。
・ベースライン時および6ヵ月ごとに75g OGTT 2時間値を測定し,2型糖尿病の発症を追跡。3ヵ月ごとに体重を測定。
●結果 試験完了例は,orlistat群52%,プラセボ群34%であった(p<0.0001)。
4年後の2型糖尿病累積発症率は,orlistat群6.2%,プラセボ群9.0%で,orlistat群で37.3%のリスク低下が得られた(p=0.0032)。4年後の平均減量度は,orlistat群(5.8kg)でプラセボ群(3.0kg)に比して有意に大きかった(p<0.001)。脱落例のデータを合わせて検討した二次的解析でも(脱落例は体重に変化なしとして解析),orlistat群でプラセボ群に比し有意な減量が得られた(3.6 vs 1.4kg,p<0.001)。
IGT例とNGT例を比較した探索的解析では,4年後の2型糖尿病累積発症率は,IGT例においてはorlistat群でプラセボ群に比し有意に低く(18.8 vs 28.8%,p=0.0024),45%のリスク低下が得られたが,NGT例においては両群間に有意差は認められなかった(2.6 vs 2.7%)。同解析による4年後の平均減量度は,IGT例およびNGT例のいずれにおいてもorlistat群でプラセボ群に比して有意に大きく,またorlistat群においてはIGT例(5.7kg)およびNGT例(5.8kg)で同等であった。
さらに,orlistat群では心血管リスク因子(血圧,腹囲,脂質値)がプラセボ群に比して有意に改善された。orlistatの忍容性は良好で,両群における有害事象の発生率は概ね同等であった。
●結論 肥満者において,生活習慣改善を単独で実施した場合に比較して,orlistatを併用することにより,4年間の2型糖尿病発症予防および減量に関してより大きな効果が得られることが示された。糖尿病発症予防に関する両治療の差はIGT例でのみ認められ,減量度はIGT例およびNGT例で同等であった。