編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年7月現在,1167報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Aguilar D, Solomon SD, Kober L, Rouleau JL, Skali H, McMurray JJ, Francis GS, Henis M, O'Connor CM, Diaz R, et al: Newly diagnosed and previously known diabetes mellitus and 1-year outcomes of acute myocardial infarction: the VALsartan In Acute myocardial iNfarcTion (VALIANT) trial. Circulation 2004; 110: 1572-1578. [PubMed]

心筋梗塞発症後に診断された糖尿病でも,その後の心血管イベントのリスクに悪影響を生じるという報告である。すでに糖尿病を診断されていた群が予後不良というデータは枚挙にいとまがないが,それと同等にイベント発症後の糖尿病診断群が不良であった。この群には,当然いくらかの割合で糖尿病が数年月あった患者が含まれていると考えられるが,逆にイベント発症前後まもなくに糖尿病を発症した患者も多く含まれていよう。罹病期間が長くなくても,イベント発症以後に起こった糖尿病の代謝異常が,心血管疾患のきわめて重要なリスク因子になるということを提唱する興味深い研究結果である。【河盛隆造

●目的 急性心筋梗塞(MI)発症後に心不全または左室収縮機能障害を認める患者において,既知または新規糖尿病が死亡および主要心血管イベントに及ぼす影響を検討した。
一次アウトカムはMI後1年における死亡および主要心血管イベントのリスク。
●デザイン 無作為,多施設。
●試験期間 追跡期間は1年。
●対象患者 14703例:MIの症状が12時間~10日にわたって持続し,心不全および/または左室収縮機能障害を認める患者。≧18歳。
除外基準:心原性ショック。血清クレアチニン値>2.5mg/dL。ACE阻害薬またはAII受容体拮抗薬に対する不耐症または禁忌。期待余命に影響を及ぼす重篤な疾患。
●方法 MI発症時およびランダム化時に糖尿病について評価し,患者を,MI発症前にインスリン投与歴または糖尿病の診断を有する「既知の糖尿病例」(3400例,23%),MI発症時は糖尿病を認めず,ランダム化(MI発症後4.9日[中央値])までに糖尿病治療を実施されたか糖尿病と診断された「新規糖尿病例」(580例,4%),糖尿病を認めない「非糖尿病例」(10719例,73%)に分類。
死亡および心血管イベント(心血管死,再梗塞,心不全,蘇生後の突然死,脳卒中)の発生を追跡し,それらのリスクを各症例間で比較。
●結果 ベースライン時の患者背景は,新規糖尿病例と非糖尿病例ではBMIを除き類似していたが,新規糖尿病例と既知の糖尿病例では,新規糖尿病例のほうが若く,心血管合併症が少なかった。
1年後における死亡リスク(補正後)は,非糖尿病例に比し,既知の糖尿病例(ハザード比[HR]1.43,95%CI 1.29-1.59)および新規糖尿病例(HR 1.50,95%CI 1.21-1.85)で同等に増大していた。1年後における心血管イベントリスク(補正後)も,非糖尿病例に比し,既知の糖尿病例(HR 1.37,95%CI 1.27-1.48)および新規糖尿病例(HR 1.34,95%CI 1.14-1.56)で同等に増大していた。
●結論 その診断時期にかかわらず,糖尿病患者ではMI発症後の長期アウトカムが不良であった。新規糖尿病例では,ベースライン時の患者背景が非糖尿病例と類似していたにもかかわらず,その予後が不良であったことは,代謝異常が不良なアウトカムに関与していることを示している。