編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Timmer JR, Ottervanger JP, Thomas K, Hoorntje JC, de Boer MJ, Suryapranata H, Zijlstra F, Zwolle Myocardial Infarction Study Group: Long-term, cause-specific mortality after myocardial infarction in diabetes. Eur Heart J 2004; 25: 926-931. [PubMed]

糖尿病の有無にかかわらず,PCIのほうが血栓溶解療法より優れていた。しかしながら,糖尿病群では全死亡率が,とくに心不全による死亡率が高かった。最近では,ステントや薬剤溶出性ステントの利用が増加しており,これらの治療法による試験の結果が待たれる。【片山茂裕

●目的 ST上昇を伴う急性心筋梗塞(STEMI)患者において,血栓溶解療法または経皮的冠動脈形成術(PCI)施行後の長期死亡率を糖尿病の有無により比較した。
一次エンドポイントは死亡,死亡および非致死性再梗塞(主要心イベント)の複合イベント。
●デザイン 無作為,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は1990年8月~1995年4月。追跡期間は7.5年(中央値)。
●対象患者 395例:STEMI患者。うち糖尿病例74例(19%)。
登録基準:AMIの症状持続≧30分,6時間以内の心電図所見において隣接する2誘導以上で1mm(0.1mV)以上のST上昇(虚血が持続する場合は6~24時間)。
除外基準:血栓溶解療法禁忌,期待余命<6ヵ月または著しいQOL障害。
●方法 患者を,1時間かけて150万Uを静注するstreptokinase(SK)群201例とPCI群194例にランダム化。全例にheparinおよびaspirinを投与。
死亡および主要心イベントの発生を追跡し,糖尿例(SK群34例,PCI群40例)と非糖尿病例で比較。
●結果 STEMI後の左室駆出率低下(<40%)は,糖尿病例で非糖尿病例に比して有意に多かった(27 vs 15%,ハザード比[HR]1.8,95%CI 1.3-3.9,p=0.02)。糖尿病例では,非糖尿病例に比して全死亡率が有意に高かったが(HR 2.4,95%CI 1.6-3.6,p<0.001),これは主として心不全死の増加によるものであった(HR 3.1,95%CI 1.4-6.8,p=0.004)。一方,突然死は両例で同等であった(HR 1.6,95%CI 0.7-3.5,p=0.23)。糖尿病の有無にかかわらず,SK群ではPCI群に比して死亡率が高かったが,このPCIによる予後改善効果はとくに糖尿病例で顕著であった(非糖尿病例:HR 1.5,p=0.12,糖尿病例:HR 2.1,p=0.04)。多変量解析においても,糖尿病は長期死亡率の独立した有意なリスク因子であった(HR 2.3,95%CI 1.5-3.5,p<0.001)。
●結論 再灌流療法の施行にもかかわらず,STEMI患者の糖尿病例では長期死亡率が上昇していた。これは心不全死によるものであり,突然死の増加によるものではなかった。初回PCIによる予後改善は,とくに糖尿病例で顕著であった。