編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年5月現在,1161報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Wu AH, Omland T, Duc P, McCord J, Nowak RM, Hollander JE, Herrmann HC, Steg PG, Wold Knudsen C, Storrow AB, et al: The effect of diabetes on B-type natriuretic peptide concentrations in patients with acute dyspnea: an analysis from the Breathing Not Properly Multinational Study. Diabetes Care 2004; 27: 2398-2404. [PubMed]

急性呼吸困難を示す糖尿病患者と非糖尿病患者における血中BNP値は,心不全の有無や心不全の既往で層別した場合,大きな差は認められなかった。ただ,糖尿病の存在は心不全の独立した予測因子であり,またBNP値はそれよりも強力な予測因子となることは,重要な知見である。【片山茂裕

●目的 急性呼吸困難により救急部を受診した患者において,糖尿病が脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値に及ぼす影響を検討した。
●デザイン 多施設(米国,欧州)。
●試験期間 試験期間は1999年4月~2000年12月。
●対象患者 1586例:急性呼吸困難を主訴として救急部を受診した患者。うち糖尿病367例(23.1%)。
除外基準:重症腎不全(透析または糸球体濾過率<15ml/分/1.73m²),急性心筋梗塞,原因の明らかな呼吸困難(胸壁の外傷,肺を貫通する外傷など)。
●方法 心不全およびその既往と糖尿病の有無に基づいて,922例を以下の6群に分類し,サブグループ解析を行った。group 1:非心不全/非糖尿病例(324例),group 2:非心不全/糖尿病例(107例),group 3:心不全/非糖尿病例(247例),group 4:心不全/糖尿病例(183例),group 5:心不全既往(呼吸困難が心不全に起因しない)/非糖尿病例(41例),group 6:心不全既往/糖尿病例(20例)。
・BNP値は年齢,性別,BMI,腎機能,NYHA分類(心不全例)により異なるため,group 1,3,5はそれぞれgroup 2,4,6にそれらの変数をマッチさせた。
・BNP値を測定し,糖尿病例と非糖尿病例で比較した。
●結果 BNP中央値は,非心不全の糖尿病例および非糖尿病例(32.4 vs 32.9pg/mL),心不全の糖尿病例および非糖尿病例(587 vs 494pg/mL),心不全既往の糖尿病例および非糖尿病例(180 vs 120pg/mL)で有意差は認められなかった。BNP値のROC曲線下面積でも,糖尿病例および非糖尿病例で差は認められなかった(0.878 vs 0.888)。しかし多変量解析では,糖尿病は心不全の最終診断の独立した予測因子であった(オッズ比1.51,95%CI 1.03-2.02,p<0.05)。
●結論 急性呼吸困難により救急部を受診した患者において,糖尿病はBNP値に影響を及ぼさなかった。糖尿病は心血管系に影響を及ぼすにもかかわらず,救急部で心不全の診断に用いられるBNP値には影響を及ぼさないと考えられる。