編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Katon WJ, Von Korff M, Lin EH, Simon G, Ludman E, Russo J, Ciechanowski P, Walker E, Bush T: The Pathways Study: a randomized trial of collaborative care in patients with diabetes and depression. Arch Gen Psychiatry 2004; 61: 1042-1049. [PubMed]

欧米では糖尿病患者の10~15%がうつ病を有するといわれている。また,うつ病が糖尿病発症のリスクであり,糖尿病を悪化させることが知られている。本試験では,担当医のみならず専門看護師や精神科医の治療によって,糖尿病患者のうつ病が改善したが,血糖コントロールの改善は得られなかった。今後,さらなる検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 うつ病を有する糖尿病患者において,うつ病ケアの質の向上がうつ病のアウトカムおよび血糖コントロールを改善させるかを検討した。
●デザイン 無作為,多施設(米国)。
●試験期間 登録期間は2001年3月1日~2002年5月31日。
●対象患者 329例:重度のうつ病および/または気分変調を有する糖尿病患者。
登録基準:患者健康質問票(PHQ)-9スコア≧10ポイント,Hopkins徴候チェックリスト(SCL)-90の抑うつ症状に関する項目(20項目)スコア>1.1ポイント。
除外基準:妊娠糖尿病。
●方法 患者を,介入群(164例)と通常ケア群(165例)にランダム化。糖尿病に関しては両群ともプライマリケア担当医が従来のケアを実施。
・介入群では,うつ病ケアの質の向上およびアウトカムの改善を目指して,うつ病ケアの専門看護師とプライマリケア担当医が共同で,段階的なうつ病治療を個別に実施。第1段階(10~12週):抗うつ薬投与または問題解決療法を実施。第2段階(8~12週):PHQ-9スコアの50%以上の改善が得られない場合は,抗うつ薬の変更,治療の変更(抗うつ薬から問題解決療法へ,またはその逆),抗うつ薬の増量または問題解決療法の強化,精神科の受診のいずれかを実施。第3段階:なお改善が得られない場合または治療に対する満足感が得られない場合は,専門的なメンタルケアをより長期間実施。
・通常ケア群では,プライマリケア担当医がうつ病ケアを実施。
・ベースライン時,6,12ヵ月後に,うつ病の重症度(SCL-90スコア),患者自身の評価による全般的改善度(Patient Global Impressionスコア),ケアに対する満足度,HbA1c値を評価。
●結果 介入群では通常ケア群に比して,抗うつ薬の用量が適切である患者の割合がベースライン時~6ヵ月後(57.3 vs 40.0%,オッズ比[OR]4.15,95%CI 2.28-7.55)および6~12ヵ月後(53.0 vs 38.2%,OR 2.90,95%CI 1.69-4.98)において有意に高く,うつ病の重症度は6ヵ月後(p=0.04)および12ヵ月後(p=0.03)において有意に低かった(random-effect modelによる解析:z=2.84,p=0.004)。また,全般的改善を認めた患者の割合は6ヵ月後(69.4 vs 39.3%,OR 3.50,95%CI 2.16-5.68)および12ヵ月後(71.9 vs 42.3%,OR 3.50,95%CI 2.14-5.72)において有意に高く,ケアに満足している患者の割合も6ヵ月後(72.7 vs 60.1%,OR 2.01,95%CI 1.18-3.43)および12ヵ月後(72.6 vs 53.9%,OR 2.88,95%CI 1.67-4.97)において有意に高かった。一方,HbA1c値に関してはいずれの時点においても有意な群間差はみられなかった。
●結論 重度のうつ病および/または気分変調を有する糖尿病患者において,本試験のケアモデルにより,うつ病ケアの質およびそのアウトカムが改善されたが,血糖コントロールの改善にはつながらなかった。