編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Home P, Bartley P, Russell-Jones D, Hanaire-Broutin H, Heeg JE, Abrams P, et al: Insulin detemir offers improved glycemic control compared with NPH insulin in people with type 1 diabetes: a randomized clinical trial. Diabetes Care 2004; 27: 1081-1087. [PubMed]

持効型溶解インスリンの2番手として現在日本でも臨床治験が進行中のdetemirは,既存の持効型溶解インスリンglargineと同様,1型糖尿病患者において基礎インスリン補充として使用した際,空腹時血糖値の改善,低血糖の頻度の低下という利点が確認された。血糖コントロールの優位性はglargineでは証明されていないが,本試験においてdetemirは解析方法によっては有意にNPHインスリンに比してHbA1c値を改善していた。この点の差異に関しては,他施設からの報告をもう少し待つ必要があると思われる。【河盛隆造

●目的 1型糖尿病患者において,長時間作用型インスリンdetemirとNPHインスリンの血糖コントロールに対する有効性および投与タイミングを比較検討した。
一次エンドポイントはHbA1c値。
●デザイン 無作為,オープン,パラレル,多施設(オーストラリア・ニュージーランドとその周辺,欧州),intention-to-treat解析。
●試験期間 試験期間は16週(2001年10月~2002年4月)。
●対象患者 408例:>18歳の1型糖尿病患者。
登録基準:罹病期間>1年,基礎インスリン(<100U/日)+食前インスリンの投与期間>2ヵ月,HbA1c値≦12.0%,BMI≦35.5kg/m²。
除外基準:増殖性網膜症,重度の再発性低血糖,肝機能障害,腎機能障害,コントロール不良の心血管障害,糖代謝に影響を及ぼす薬剤の投与,妊娠または授乳中。
●方法 2週のスクリーニング期間後,患者をdetemirの朝食前+就寝時投与(detemir朝+夜)群(139例),detemir12時間ごと投与(detemir 12h)群(137例),NPH インスリン朝食前+就寝時投与(NPH)群(132例)にランダム化。
毎食前に即効型インスリンaspartを投与。detemirおよびNPHインスリンの用量は,4週(必要であればそれ以上)かけて自己血糖測定における目標値(朝食前/就寝時4.0~7.0mmol/L,食後≦10.0mmol/L)を達するよう調整。
ランダム化時,8,16週後にHbA1c値および空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値を測定。維持投与期間(12週)の最後の7日間に朝食前の自己血糖測定を実施。維持投与期間における低血糖の発生を評価。
●結果 両detemir群ではNPH群に比して,FPG値(平均絶対差:detemir 12h群 vs NPH群-1.5mmol/L[95%CI -2.51~-0.48],p=0.004;detemir朝+夜群 vs NPH群-2.3mmol/L,[95%CI -3.32~-1.29],p<0.001)および自己測定による朝食前血糖値(それぞれ-0.8mmol/L[95%CI -1.32~-0.22],p=0.006;-0.8mmol/L[95%CI -1.34~-0.25],p=0.004)が有意に低かった。一方,HbA1c値はそれぞれのdetemir群とNPH群間に差はみられなかったが,detemir群を合わせて解析したところ,detemir群でNPH群に比して有意に低かった(-0.18%[95%CI -0.34~-0.02],p=0.027)。自己測定による朝食前血糖値の各患者内での変動は,両detemir群でNPH群比して有意に小さかった(いずれもp<0.001)。
軽度低血糖のリスクは両detemir群でNPH群に比して有意に低く(それぞれ25%低下,p=0.046;32%低下,p=0.002),これは主としてdetemir朝+夜群において夜間低血糖のリスクが53%低下(p<0.001)したことによるものであった。
NPH群では体重が増加したが,両detemir群では増加はみられなかった(それぞれ-0.8kg[95%CI -1.44~-0.24],p=0.006;-0.6kg[95%CI -1.23~-0.03],p=0.040)。
●結論 1型糖尿病患者の全般的な血糖コントロールは,NPHインスリンに比してdetemirでより改善された。また,detemirの投与タイミングに関するデータは,個々の患者に合った投与タイミングを決定する際の根拠となるものである。