編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kostis JB, Wilson AC, Freudenberger RS, Cosgrove NM, Pressel SL, Davis BR, SHEP Collaborative Research Group: Long-term effect of diuretic-based therapy on fatal outcomes in subjects with isolated systolic hypertension with and without diabetes. Am J Cardiol 2005; 95: 29-35. [PubMed]

降圧療法による糖尿病発症に対する影響は5年程度の試験期間中にある程度把握できるが,発症した糖尿病が予後にどのような影響を及ぼすかは,その後の長期のfollow upを行わなければわからない。本研究は,合計14.3年の長期にわたって新規発症した糖尿病の影響を検討した貴重な成績である。新規発症糖尿病のCVイベントに対する影響は,治療開始時に糖尿病がある場合と同程度であると報告されていたが(Hypertension 2004; 43: 963-969),本研究では利尿薬群においては新規発症糖尿病はCVおよび総死亡率に有意な影響を与えなかった。【景山 茂

●目的 利尿薬をベースとした降圧療法が心血管疾患イベントに及ぼす長期的な影響を糖尿病の有無により比較検討した(SHEP延長試験)。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設。
●試験期間 本試験の実施期間は1985年3月~1991年2月,追跡期間(中央値)は4.4年。延長試験の追跡期間(中央値)は本試験終了後~10年(119ヵ月)。二重盲検試験期間を含む全追跡期間(中央値)は14.3年(172ヵ月)。
●対象患者 4732例:≧60歳の収縮期高血圧(SBP 160~219mmHgかつDBP<90mmHg)患者。平均71.6±6.7歳。糖尿病患者799例(16.9%)。
除外基準:1型糖尿病,利尿薬の適応。
●方法 患者を,段階的降圧療法(実薬)群(2363例)とプラセボ群(2369例)にランダム化。
・実薬群では,利尿薬chlorthalidone 12.5~25.0mg/日を投与し,降圧目標(SBP>180mmHgの場合はSBP<160mmHg, SBP 160~179mmHgの場合はSBP≧20mmHgの低下)を達成できない場合は,β遮断薬atenololまたは末梢性交感神経抑制薬reserpineを併用。
・全調査期間において心血管(CV)死(脳卒中・心筋梗塞・左室不全・その他の心血管要因による死亡,突然死)および全死亡を追跡。
●結果 全試験の追跡期間におけるCV死亡率は,実薬群でプラセボ群に比して有意に低かった(19.0 vs 21.7%;補正ハザード比[HR]0.854,95%CI 0.751-0.972,p<0.05)。全死亡率については両群間に差は認められなかった(41.0 vs 43.0%;補正HR 0.923,95%CI 0.844-1.010)。ベースライン時の糖尿病例では非糖尿病例に比して,CV死亡率(補正HR 1.659,95%CI 1.413-1.949)および全死亡率(補正HR 1.510,95%CI 1.347-1.693)が上昇していた。
追跡期間の新規糖尿病発症は,実薬群258例(13.0%),プラセボ群169例(8.7%)であった(p<0.0001)。プラセボ群の新規発症例ではCV死亡率(補正HR 1.562,95%CI 1.117-2.184)および全死亡率(補正HR 1.348,95%CI 1.051-1.727)の上昇がみられたが,実薬群の新規発症例では有意な上昇はみられなかった(CV死亡率:補正HR 1.043,95%CI 0.745-1.459,全死亡率:補正HR 1.151,95%CI 0.925-1.433)。
ベースライン時の糖尿病例および追跡期間の新規発症例を合わせて検討しても,実薬群ではプラセボ群に比して,心血管死亡率(補正HR 0.688,95%CI 0.526-0.848)および全死亡率(補正HR 0.805,95%CI 0.680-0.952)が有意に低かった。
●結論 利尿薬(chlorthalidone)をベースとした降圧療法は,とくに糖尿病患者における長期アウトカムを改善した。利尿薬投与下で新たに糖尿病を発症した患者ではCVイベントの有意な増加は認められず,既知の糖尿病患者よりも予後が良好であった。