編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Cusick M, Meleth AD, Agron E, Fisher MR, Reed GF, Knatterud GL, Barton FB, Davis MD, Ferris FL, Chew EY, et al: Associations of mortality and diabetes complications in patients with type 1 and type 2 diabetes: early treatment diabetic retinopathy study report no. 27. Diabetes Care 2005; 28: 617-625. [PubMed]

網膜症を有する1型あるいは2型糖尿病患者の5年推定死亡率は,それぞれ5.5%,18.9%であり,まずその数値の高さに注目すべきである。また2型糖尿病患者では,細小血管障害や大血管障害のほとんどが,独立した死亡の予測因子となっている。このことは,血糖コントロールはもちろんであるが,血圧や脂質を含めた糖尿病のトータルケアが必要なことを再認識させてくれる。
片山茂裕

●目的 網膜症を有する糖尿病患者において,糖尿病性合併症と死亡の関係を検討した。
一次アウトカムは全死亡。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設。
●試験期間 登録期間は1980年4月~1985年7月。追跡期間は5~9年。
●対象患者 3711例:ETDRSに参加した網膜症を有する糖尿病患者(1型糖尿病1444例,2型糖尿病2267例)。18~69歳。
登録基準:軽度~重度の非増殖網膜症または軽度~中等度の増殖網膜症。
除外基準:aspirin投与禁忌,凝固因子異常,SBP>210mmHgおよび/またはDBP>110mmHg,腎移植または透析の施行歴,重度の腎疾患または予後不良が予想される者。
●方法 患者をaspirin 650mg/日群とプラセボ群にランダム化したETDRSで得られたデータを用いて,糖尿病性合併症と死亡の関係を,1型糖尿病患者と2型糖尿病患者で分けて検討。
・糖尿病性合併症は,大血管障害(心筋梗塞,冠動脈疾患,うっ血性心不全,脳卒中,一過性脳虚血発作,間欠性跛行,抗狭心症薬の使用,心電図所見の異常),腎症,末梢神経障害,網膜症,視力とした。
●結果 Kaplan-Meier法による5年推定死亡率は,1型糖尿病患者5.5%(95%CI 4.3-6.7),2型糖尿病患者18.9%(95%CI 17.2-20.6)であった。
Cox比例ハザードモデルを用いた解析(他の糖尿病性合併症およびベースライン時の患者背景を補正)において死亡リスクと有意な相関を示した合併症は,1型糖尿病患者では四肢切断(ハザード比[HR]5.08,95%CI 2.06-12.54)および視力低下(HR 1.74,95%CI 1.10-2.75)であった。2型糖尿病患者では大血管障害(HR1.63,95%CI 1.32-2.01),腎症(中等度蛋白尿:HR 1.90,95%CI 1.49-2.42,高度蛋白尿:HR 1.89,95%CI 1.19-3.01,血清クレアチニン高値:HR 2.46,95%CI 1.83-3.32),末梢神経障害(振動感覚消失:HR 1.32,95%CI 1.04-1.67,潰瘍:HR 1.48,95%CI 1.01-2.17,四肢切断:HR 2.23,95%CI 1.47-3.38),網膜症(重度の非増殖網膜症:HR 1.48,95%CI 1.03-2.15,中等度~重度の増殖網膜症:HR 2.02,95%CI 1.28-3.19),視力低下(HR 1.36,95%CI 1.01-1.83)であった。
●結論 1型糖尿病患者では四肢切断が最も強力な死亡の予測因子であった。2型糖尿病患者ではすべての合併症が独立した死亡の予測因子であり,各合併症の悪化に伴って死亡リスクが増大していた。これらの患者における三次予防の死亡減少の有効性については,さらなる検討が必要である。