編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Deedwania PC, Giles TD, Klibaner M, Ghali JK, Herlitz J, Hildebrandt P, Kjekshus J, Spinar J, Vitovec J, Stanbrook H, et al: Efficacy, safety and tolerability of metoprolol CR/XL in patients with diabetes and chronic heart failure: experiences from MERIT-HF. Am Heart J 2005; 149: 159-167. [PubMed]

β遮断薬の糖尿病に対する影響の懸念から,わが国の高血圧治療ガイドライン2004では,糖尿病を合併した高血圧の第一次薬にβ遮断薬は含まれていない。しかし,MERIT-HFのみならずメタ分析されたCIBIS IIおよびCOPERNICUSの成績から,心不全例については糖尿病を合併していてもβ遮断薬の有効性・安全性が示されたと言える。【景山 茂

●目的 糖尿病患者におけるβ遮断薬metoprolol CR/XLの有効性および忍容性を検討するとともに,糖尿病患者の生存率に関するβ遮断薬の有効性を3試験(CIBIS II,MERIT-HF,COPERNICUS)のメタアナリシスで検討した。
アウトカムは全死亡,全死亡およびすべての入院,全死亡または心不全悪化による入院。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照。
●試験期間 追跡期間は平均1年。
●対象患者 3991例:MERIT-HFの登録患者(慢性心不全患者)。うち糖尿病患者985例。40~80歳。
登録基準:NYHA II~IV,左室駆出率≦0.40,心拍数≧68/分,利尿薬およびACE阻害薬による適切な標準治療を実施されていること。
●方法 プラセボ投与によるrun-in期間(2週)後,患者をmetoprolol CR/XL群(糖尿病患者495例,非糖尿病患者1495例),プラセボ群(糖尿病患者490例,非糖尿病患者1511例)にランダム化し,アウトカムの発生および有害事象を追跡。重症心不全(NYHA III~IVかつ左室駆出率<0.25)を有する症例については,さらにサブ解析を実施。
・metoprolol CR/XL群:12.5mg/日(NYHA III~IVの患者)または25mg/日より投与開始。目標用量(200mg/日)または最大耐容量まで,2週ごとに2倍の増量を推奨。
・あらかじめ設定したアウトカムは,全死亡,全死亡およびすべての入院の複合エンドポイント,および心不全の悪化による全死亡あるいは入院である。
・糖尿病患者におけるβ遮断薬治療による全死亡リスクの低下を,本試験,CIBIS II(Cardiac Insufficiency Bisoprolol Study II),COPERNICUS(Carvedilol Prospective Randomized Cumulative Survival Study)のメタアナリシスで検討。
●結果 MERIT-HFは,metoprolol CR/XL群において全死亡率の有意な減少を認めたため,早期に終了した。本解析はサブ解析として実施された。
プラセボ群において,心不全悪化による入院リスクは,糖尿病例で非糖尿病例に比して76%増大していた(95%CI 38-126%,p<0.0001)。心不全悪化による入院リスクが最も増大しているのは,プラセボ群の重症心不全を有する糖尿病例であり,プラセボ群の全非糖尿病例の約4倍であった(50.4 vs 13.2%/人・年)。
metoprolol CR/XL治療により,糖尿病例では心不全悪化による入院リスクが37%低下し(95%CI 53-15%,p=0.0026),非糖尿病例では35%低下した(95%CI 48-19%,p=0.0002)。重症心不全を有する症例における検討でも,糖尿病の有無にかかわらず,metoprolol CR/XL治療により心不全悪化による入院リスクが低下した(糖尿病例:リスク低下53%[95%CI 73-17%,p=0.0087],非糖尿病例:リスク低下44%[95%CI 63-17%,p=0.0039])。
有害事象の発生は,糖尿病の有無にかかわらずプラセボ群で多かった。投与中止例も,糖尿病の有無および心不全の重症度にかかわらずプラセボ群で多く,metoprolol CR/XLの忍容性は良好であることが示唆された。
3試験のメタアナリシスでは,β遮断薬治療による全死亡リスク低下は,糖尿病例25%(95%CI 40-4%),非糖尿病例36%(95%CI 44-27%)と,両例で同等であることが示された。糖尿病と治療との交互作用は認められなかった。
●結論 重症心不全を有する糖尿病患者では,非糖尿病患者に比して心不全入院リスクが顕著に増大していることが示された。糖尿病の有無にかかわらず,metoprolol CR/XL治療により心不全悪化による入院が有意に減少し,また糖尿病患者においても忍容性は良好であった。さらに,3試験のメタアナリシスでは,糖尿病患者においてもβ遮断薬治療により生存率が有意に改善することが示された。